2章9話「汚くて美しい(3)」 ページ10
彫像の中に箱を見つけた
その箱は焦げているのに中にある物は毎日…とまではいかないが、手入れをされているように見えた。
そのくらい美しく輝いていた。
ライカ「……ラズル。多分コレだ。」
ラズル「確かにコレ………っぽいな。」
ライカ「これを…どうすればいいんだ?」
ラズル「これは…確か………彫像の手に……?」
ラズル「………??」
ライカ「とりあえず手に置けばいいんだな。」
ライカ「…………箱ごと?」
ラズル「じゃないと汚れるだろ。」
ライカ「確かに。」
ライカ「どの彫像の手に置くんだ?」
ラズル「レチェラさんの正面の彫像。」
ライカ「アレか。」
ライカ「……守りが硬そうな…」
ライカ「そういえば、レチェラさんは」
ラズル「一応無事。彫像に囲まれてはいるけど。」
ライカ「ならよか………ん?」
ラズル「無事でしょ。一応は。」
ライカ「まぁ、そだな。」
ー置いてみたー
ライカ「…………。」
ラズル「……。」
『寂しい。悲しい。』
『…………騎士様、これが感情?』
『……こんなのいらない。助けて、騎士様。』
ライカ「…………今のは?」
ラズル「誰か…だったな。」
ライカ「…。」
ラズル「………………。」
『彫刻、さん。』
『……■■さん。』
『今年も………来ちゃいました…。』
『………………いつでも来ていいよ。』
『……はい……………。』
ラズル「………………ドグさん?」
ライカ「だったな。」
ドグ「………………。」
ラズル「ドグさん?」
ドグ「き………し…………………様……………。」
レチェラは箱を受け取った後だったらしく、元に戻った彫刻の魔人を抱えて歩いてきた
レチェラ「心配させてごめんなさい。」
ラズル「大丈夫。」
ライカ「俺も大丈夫だ。」
レチェラ「…………ドグさん。こっちに来て。」
ドグはレチェラの前に立ち、無理矢理膝に座らされる
ドグ「…………レチェラさん?」
レチェラはドグを後ろから抱きしめ、首筋に噛みついた
ドグ「ぐ……………ッ」
レチェラはドグに出来た噛み跡を眺めてから、肩を舐めた
ドグ「ちよ、っと………く、すぐっ…た………………!」
レチェラ「ドグさん。ドグさん。」
ドグ「な…んです……?」
レチェラ「僕のこと、まだ好き?」
ドグは動きを止めないレチェラの事を無理矢理抑えながらこう言った。
ドグ「もちろん、愛しています。おかあさん。」
その時。偶然とは言えんばかりの小麦色が、周囲を照らした_
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