小話「電話越し」 ページ43
電話が掛かってきた
誰からだろう？
とりあえず出てみよう。
レチェラ『あ、あの』
レチェラさんだった。
アクゼ「どうしたの？」
レチェラ『えと、その』
アクゼ「どうしたの。」
レチェラ『あ、えと………近くに誰かいますか。』
アクゼ「………移動するから待って。」
レチェラ『は、はい。』
聞かれたくないような、そんな内容なのだろう。
彼だけは呼ばないようにと近くにいたネクに言ってから移動した。
ー三階・エントランスー
アクゼ「で、どうしたの？？」
レチェラ『実は＿＿』
アクゼ(………………え………？)
レチェラ『＿＿＿＿と、言う事がありました…。』
アクゼは少し困り、考えてからレチェラに言った。
アクゼ「……………レチェラさんの自由にしたらいいと思うよ。」
レチェラ『…？』
アクゼ「………………レチェラさんは彼に縛られずに自由に生きていいよ、ってこと。」
レチェラ『………………えと…』
その一言で終わればよかった。
そう、終わればよかったのだ。
だが、アクゼはそんな男ではない。
アクゼ「………ねぇ、レチェラさん。今まで散々な事をされたんだし、何かしていかない？」
レチェラ『ん？』
アクゼ「せっかくだから、彼の前でしたり…とか、見えるところでデート………とか。彼を狂わせてみるのはどう？」
レチェラ『………………………考えておきます。』
アクゼ「は〜い。」
レチェラ『………たまに帰ります。あと、電話切ります…よ…？』
アクゼ「うん、またね〜。」
電話が切れた音がした後、大急ぎで一階に降りた
アクゼ「………ネク！！」
ネク「何？」
アクゼ「凄かった！」
ネク「………………………何…？」
アクゼ「レチェラさんが運命の相手に出会った。」
ネク「そっか。………………………………………………………え？」
ー
アクゼ「レチェラさん、元々約束してた相手がいたんだって。本人は忘れちゃってたみたいだけど。」
アッシュ「…。」
アクゼ「それで、昨日出会って家に連れ込まれて抱かれちゃったらしい。」
ネク「………………おめでとう？」
アクゼ「おめでとうかも。」
カイツ「…。」
ネク「……でも、これって…」
アクゼ「いや、彼に一番似合う罰だよ。裏で暴れまわってる罰。」
ネク「…………あれ！？カイツとアッシュ！？」
アクゼ「いつの間に…？！」
アッシュ「興味のある話題だったから近付いた。」
カイツ「僕も、です。」
アクゼ「……ッもう！！！」
ネク「…後でプレゼント探そう。」
アッシュ「そうするか。」
1章17話「再会から広がる話（5）」→←1章16話「再会から広がる話（4）」
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