1章7話「混沌深海（2）」 ページ32
少しの沈黙。
その沈黙を破り、明るい雰囲気にしようとアッシュが声を上げた。
アッシュ「ゔ………」
アクゼ「はいはい、サラダのおかわり？」
アッシュは何も言わずにこちらを見る。まるで「早くしろ」と言われているみたいで少しだけ笑いが零れた
アクゼ「急かさないでよ。朝はまだ遠いんだから。」
ネク「そうそう。もう少しのんびりしようよ、せっかちさん。」
それを聞いたアッシュは少しだけ項垂れた
アクゼ「……ごめん。」
ネク「…………ごめん。」
それを聞いたアッシュは2人が謝っている理由が分からず、不思議そうにした
アクゼ「…カイツくんさ、僕が寝起きのキスをしようとすると嫌がっちゃうの。なんで？」
カイツ「朝は……その…びっくりしちゃうから……。」
アクゼ「そうだったの。可愛いね〜。」
カイツはいきなり頭を撫でられてびっくりしたが、すぐに慣れたようで受け入れていた
カイツ「…………アクゼくん…。」
アクゼ「ん？」
カイツ「……。」
アクゼ「………………後で抱っこする。」
カイツ「…………は〜い。」
ー朝食食べたよ！ー
ソファに座り、本を読む
アクゼ「カイツくん、ここ読んだ？」
カイツ「もうちょっと…。」
アクゼ「読み終えたら言って。」
カイツ「…………次の頁。」
アクゼはカイツの言う通りに手を動かす
そうして本を読み続けていると、首が痛くなってきた
アクゼ「…………首痛い。」
カイツ「………………ぼくもです。」
アクゼ「今日はここでやめよっか。」
カイツ「……うん。」
アクゼ「栞どこ？」
カイツ「はい。」
アクゼ「ありがとありがと。」
カイツ「…手。」
アクゼ「？はい。」
カイツ「………あったかい。」
アクゼ「カイツくんの手、ちょっとだけ冷たいね。」
カイツ「………うん。」
『カイツくん、どこ行くの？！』
『………………。』
『カイツくん…カイツくん、一緒に行こうよ。どこに行きたいのかはわからないけど。』
『でも、カイツくんが行きたい場所っていつも楽しいから。』
『………。』
『……僕も一緒に行く！』
『カイツくんの事、1人にはできないもん。』
『………………………………うん。』
カイツ「あのとき」
アクゼ「？」
カイツ「どうして着いてきた…んですか。」
アクゼ「……カイツくんの背中が、凄く寂しそうだったから。だから着いてきたの。」
カイツ「わたしの行くところは、いつも楽しいのです？」
アクゼ「うん、楽しいよ。」
アクゼ(ホントに、楽しい……楽しいよ。)
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