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起きると、外は、雪が降っているようだった。
もう冬になったんだなぁ…
最近、前より睡眠の時間が増えた気がする。
でも、今回の夢は、Aが出てこなかった。
次は出てきてくれるといいんだけれど。
そういえば、青い彼岸花の探索にも行かなければいけない。
ずっと猗窩座殿に任せっきりで、そろそろ叱られてしまう。
「はぁ…」
気力が湧かないなぁ…
その時、ふとAの部屋のことを思い出す。
あの部屋は、出ていったときのままで、掃除もしていない。
様子を見に行ってみようか。
急にそんなことを思いつく。
こんなの、ただの現実逃避なんだけれど。
探知探索は得意では無いから、出来ればやりたくない。
他の部屋より一段と大きな部屋の前で立ち止まる。
そういえば、小さな部屋で十分だというAに、他の部屋が空いていないから、と嘘をついてこの部屋に住まわせたんだった、と思い出す。
今までこの部屋には入ったことは無かったかもしれない。
Aが居た時も、居なくなってしまってからも。
居た時はともかく、出ていってからも、ずっと入らなかったのは、どうしてなんだろう。
自分でも分からない。
まず、入ろうと思ったことがなかった。
ゆっくりと扉を開けて中に入ると、深夜だからもう外から光は入って来ていなくて、電気もついていないから部屋は暗い。
電気をつけると、布団は積まれたまま、着物も掛けてあり、机の上には、読みかけの本にしおりが挟まれていた。
埃が積もっていること以外は、つい先程までAがいたような。
引き出しを開けると、古く、歯が欠けている櫛が入っていた。
これは、確か母親の形見だと言っていただろうか。
逃げたのだとしたら、これは持って行っていたはず。
逃げたんじゃ、無かったんだろうか。
出ていく時、何をしに行くのかは教えてくれなかった。
ただ笑顔で、いつも通りだった。
何故だか胸が苦しくなってくる。
…埃のせいだろうか。
櫛を懐にしまい、部屋を出る。
そうだ、そろそろ仕事をしなければいけない。
本当に叱られてしまう。
ふと外をみると、まだ雪は降り続いていた。
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寺乃(プロフ) - 小姐さん» ぜひ見ていただけると嬉しいですー!✨ (9月20日 19時) (レス) id: db666116fc (このIDを非表示/違反報告)
小姐 - 新作だー!!絶対、見まーすっっっ!!^ ^ (9月18日 18時) (レス) @page3 id: d47bf1e932 (このIDを非表示/違反報告)
寺乃(プロフ) - ほしいも(*^^*)さん» ありがとうございますぅぅぅ!!頑張りまっす! (9月17日 16時) (レス) id: db666116fc (このIDを非表示/違反報告)
ほしいも(*^^*)(プロフ) - 新作おめでとうございます!!応援してますぇぇぇぇ (9月16日 19時) (レス) @page2 id: 88768a4726 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:寺乃 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Mui08081/
作成日時:2023年9月16日 16時