Half step【4】 (ページ8)

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「もし、嫌じゃなければ家まで送らせてほしい。」

そう提案してきた良規に、私は黙って頷いた。

「さっきの人、前にマッチングアプリやってて、それで1回だけ会った人。」

「確か、うちの店来とったよな？」

「そうそう。アプリは消したんやけど、辞め方わからんくて。それで多分私がずっと無視してるみたいになってたっぽい」

「ほんま気ぃつけてな。絡まれとる人がAちゃんやと思って、めちゃくちゃ焦ったんやから。」

私の部屋の前、本来なら別れの言葉を言うところで、彼は本題を切り出してきたから、家に入ってもらった。

「ってごめん。こんなことになったのも、全部俺のせいやな」

さっきからずっと考えないフリしてた。

こんなことできても、彼はもう私の彼氏じゃないんやなって。

「違う、…それは違う。良規だけが悪いのは、絶対に違う。」

「…」

「私が、せんかったから。
その、良規のこと、受け入れられんかったから。
やから、そういうことになってもしょうがなかったっていうか、」

「…Aちゃんもうええから」

「それに、小島くんが、言っとった。
『まっさんは酔ったら、覚えてない』って。
…やから、今回のことで、良規を責めるのはやめた。」

「……ちゃうよ。」

「ちゃうこと、ないよ。
私が良規のこと、繋ぎ止めれんかったから。
…ごめん、ずっと責めてしんどい思いさせて。」

「ちゃう。ほんまに俺のせいやから。
あの日、大吾に会いに来たあの人を家にあげてしまったのも、酒飲んで酔ったんも、
…Aちゃんが大吾と家出てったんが、悔しかったから。」

「…大吾は、」

「好きな子が、俺以外の男のこと考えてんのが、面白くなかった。
俺だけに振り向いてほしくて、俺をAちゃんのものって、証明してほしくて。ごめん、怖い思いさせて」

そんなことないと首を振る。
それでも彼は納得いかないように続ける。

「わざと気引かそうと、…ほんま子どもみたいなことして、ごめん。」