Half step【4】 (ページ15)

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良規が言ったことはあながち間違いでもなくなって、新年度から私と藤原くんは朝から晩まで忙しく働いていた。

「はい、総務の西野です。」

『藤原です、お疲れさま。今から時間作れる？』

「うっ、…了解です、5分待ってほしい。」

『ええよ、じゃあ10分後打ち合わせスペースで待ってるわ。』

電話を終えると、向かいのデスクに。

「佐倉ちゃんごめん、1人で任せて。あと申し訳ないんだけど、これもちょっとやってほしいんだけど、」

「え？全然いいですよ。終わらしたら提出しておきますね」

「ありがとう！でも、そんなにいっぱい任せてほんとに大丈夫？」

「大丈夫ですって。だって私もう4年目ですよ？」

お給料も上がったし頑張らなきゃって、もうすっかり頼れるお姉さんになった可愛い後輩。

えらいなぁ、私はそのくらいのとき大変な仕事はしたくないし、なんなら毎日定時で帰りたいと思ってたのに。

そんなことを思ってたから、こんな特命係なんて指名されたんかな〜なんて、考えても答えの出ないことをしてしまった。

そんなこんなで、4.5.6月は一瞬で過ぎていった。

5月の母の日は出張の前乗りで東京だったし、6月の父の日は前日の土曜が休日出勤で倒れたように寝ていて気づいたら昼の3時だった。

「かおりさんごめんね。母の日も遅れた上に父の日も寝過ごすなんて。」

「ええよ、そんなん気にせんといて。
ほんまに忙しいんやって？正門くんに聞いたわ。」

彼の店は居酒屋という点を除いては、かなり都合がよかった。
本社から近い上に、夜遅くまで開いている。

そのうちに藤原くんも彼と打ち解けて今では2人で仲良く話しながら私の到着を待っている時もある。

「無理はせんといてね。お父さんも斗亜ちゃんが出て行って寂しがってはいるけど、こうやって元気に連絡くれるだけで喜んでるから。」

「ありがとう。お父さんのこと、よろしくお願いします。」