Half step【4】 (ページ1)

今日:18 hit、昨日:11 hit、合計:41,944 hit

147 ページ1

別に朝が弱いわけではないと思う。

だけど起きられないのはたぶん昨日久々にお酒を飲んで、少し酔ったから。

バタンとドアが閉まる音が聞こえて、夢から現実世界に少しずつ意識が帰ってきた。

私の隣に少し空いた空間には、温もりが残っていて、それは誰かがさっきまでそこにいたことを示していた。

すぐに帰ってくると思っていた良規は随分経っても戻ってこなくて今何時かと確認しようと時計を探したけれど、その部屋には見当たらず、リビングに置きっぱなしの自分のスマホを取りに部屋を出た。

「…どうするん、話すん？Aに。」

廊下に出ると、大吾の声が聞こえてきた。

「…わからん」

「話すんやったら急いだ方がええ、
接触してきとるんは確かやと思う。」

けど、ふたりの会話はいい話ではなさそうで、その場の空気を変えるように私は口を開いた。

「大吾？どうしたん？」

この声に振り返ったのは驚き以外の感情をなくした顔をしている良規だけだった。

彼は、私と目が合うと数秒後スっと視線を落とした。

途端に私は不安でいっぱいになり、それは自分で口が歪んだのがわかるほどで。

「え、なに？なんで」

「…起きんのはやいな、」

「何それ。
あ。私のスマホ、それ？昨日の夜から見てへんくて…」

スマホで思い出す、懸案事項が１件

「もしかして、大吾…言った？
良規に、撮られてた写真、送られてきたこと。」

急いでスマホのディスプレイを明るくすると、通知が1件

「A待って！」

もう遅い

開いたトーク画面には、画像が送られてきていた。

「なにこれ？…カップル？」

「え？」

びっくりした声を出した良規が、隣に腰を下ろして画面を見覗き込む。

「そんなに焦ってどうした、ん…？」

動きが固まった彼から、これはなにか重大なものやと察する。

人差し指と中指を画面上に置いて、両指間の距離を広げるように滑らせていく。

「……は？」

立ち上がり、

「これ、だれ？………良規」