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今日は雨風が激しい。
窓越しにも聞こえる、ビュービューという風の音。
まるで今の私の心を表しているかのようだった。
意を決して、外に出る。
長靴を履き、「よし」と頷いて傘をさす。
ザーッと雨音が強くなったのに比例して、私の不安も倍増していく。
本当はこんな事したくなかった。
萌桃さんを責めるつもりなんてなかった。
逆に、萌桃さんを救いたかった。
それなのに、なぜこんなことをするのか。
それはきっと、誤ちは正すべきだ、そのほうが萌桃さんを救うことに繋がるはずだから、という想いからだと思う。
そんな事を考えていると、あっという間に木の板に記された“菜の花公園”の文字が、見えてきた。
ふーはーふー、と深呼吸をして、中に入る。
そこには、ランさんと萌桃さんの姿。
「あ、こんにちは」
萌桃さんは、公園についた私を見て、にこっと微笑み、すぐにペコッとおじぎをしてくれた。
本当に、この子が? と疑ってしまうほど、礼儀正しく大人しい子。
ああ、今から私は、この子の笑顔を曇らしてしまうのか、と気が重くなる。
でも、言わなきゃ。
「落ち着いて聞いてほしい話があるの」と前置きをして、話し始めた。
萌桃さんを疑っていること、理由、証拠、ちょっと私情も加えてしまったけれど、全部ぜーんぶ話した。
本当なら怒って帰ってしまってもおかしくない話なのに、2人は、特に萌桃さんは、落ち着いて聞いてくれた。
嬉しかった。
不安だったから、とてつもなく不安でたまらなかったから。
『帰っちゃったらどうしよう』『もう口も聞いてくれなくなったらおしまいだ』『あーあ、こんなことぐるぐる考えてたら、余計にうまく話せなくなっちゃう』こんな不安を胸に、私は話せた。
最初は上手く話せなかったけど、2人がうんうんとうなずいて聞いてくれているから、しっかり話したいことを全て話しきれた。
話し終わった瞬間、私は、ここ3ヶ月ほど抱えていた、心の中の重い重い鉛が吹き飛んだ。
────ん?
「・・・・・・晴れた・・・・・・ね!」
沈黙を破ったのは、萌桃さんだった。
本当はすごく傷ついたはずなのに、にっこり笑顔は崩さないままだった。
「・・・・・・うん」
「・・・・・・ありがとね、私、このままだったら、絶対話せてなかった。
本当はね、話したかったんだ。
自作自演だってこと、隠したままじゃ、心が痛くて痛くてさぁ」
雨上がりの青空は、まだ少し雨の香りが残っていた────。
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*あくあほいっぷ* - 雨猫さん» わわ!尊敬なんて恐縮です……(灬ºωº灬)めちゃめちゃうれしいです!頑張ります……!!! (2022年5月7日 18時) (レス) id: 1957763690 (このIDを非表示/違反報告)
雨猫 - あ、パクるってことじゃないです、自分なりに自分の表現で書きたいってことです…。続きも楽しみにしてます! (2022年5月7日 0時) (レス) id: 873394c41b (このIDを非表示/違反報告)
雨猫 - うーん、すごいなぁ、普通の小説書いても数人の人が見てくれるだけだからなぁ…。めっちゃ尊敬です!語彙力文章力すごいですね!情景描写がすごく綺麗…✨僕も作者さんみたいに書けるよう頑張ります (2022年5月7日 0時) (レス) @page12 id: 873394c41b (このIDを非表示/違反報告)
*あくあほいっぷ* - 光ノ咲 Rさん» うあ゙Aaaaaa⤴️コメント嬉しいです!こんなに褒めてもらえるとは……(//∇//)照れますねぇ……Σ(|||▽||| )マジで嬉しさ高杉です!更新頑張ります(,,•ω•,,)و♡ (2022年4月25日 19時) (レス) id: 1957763690 (このIDを非表示/違反報告)
*あくあほいっぷ* - 洸さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。フォントデフォルトにしておきますね! (2022年4月25日 19時) (レス) id: 1957763690 (このIDを非表示/違反報告)
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