日本の道化の月 Ⅱ【イナオリ】 (ページ26)

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夕食を終え、就寝時間までの自由時間、Aは自販機で飲物を買おうとしたら、西蔭と鉢合わせしてしまう。

どうやら西蔭も自販機で何か飲物を買おうとしていたらしい。

西「鏡月か」

『誰かと思えば、皇帝様の犬じゃないか』

Aはそう言いながら自販機にお金を入れ自分の飲物を買った。

西蔭は”犬”呼ばわりされムッとした表情になる。

西「俺は犬じゃない。ただ野坂さんを尊敬しているだけだ」

『ふぅん、あんなやつのことが尊敬できるなんて、私なら一生掛かってもムリだね』

Aがそう言うと西蔭は溜息をついた。

西「鏡月、お前はまだFFのことを根に持っているのか？」

西蔭の質問にAは口をつぐんだ。

西「野坂さんも、あぁするしか道がなかったんだ。お前達に酷いことをしたことは詫びる。

だから、野坂さんと仲良くしてっ」

その瞬間、Aは西蔭の胸ぐらを掴んで顔を引き寄せた。

西「っ！」

『うるっさいなぁ……犬は犬らしく飼い主のところにでも戻って尻尾でも振ってなよ』

西蔭よりもはるかに身長の低いAは、西蔭の顔を下から覗き込むようにしてそう言う。

西「(こ、これが鏡月の本性っ……！；)」

野「はい、ストップ」

その時、二人の間に割って入ったのは野坂だった。

西「野坂さんっ！」

野「Aさん、西蔭をあまりいじめないであげてほしいな」

Aは西蔭の胸ぐらを放すと野坂を睨み付けながら離れていった。