日本の道化の月 Ⅱ【イナオリ】 (ページ6)

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ヒロトと灰崎とAは、宿舎を出て湖沿いのベンチで一人休んでいる一星の下へ向かった。

それはもう、タダならぬ雰囲気を出しながら……

『やぁ、一星君』

一星は一瞬こちらに目を向けたが、すぐに素知らぬ顔をして目を逸らした。

灰「俺たちがこのまま黙っていると思うか？」

充「へぇ？俺をどうにかするつもりなんだ？」

一星のその余裕そうな態度を見て、灰崎は舌打ちをした。

ヒ「まぁ、湖の畔で転んで、足に怪我をすることもあるよなァ？」

『そしてそのまま湖で溺れ死んじゃったりしてね～』

ヒロトとAの言葉に、煽るように笑う一星。

充「わかりやすいね、君ら」

灰「それ以上無駄口っ、叩けなくしてやるよ！」

その瞬間、灰崎が一星に殴り掛かった。

しかし一星は灰崎の拳をヒラリヒラリと余裕の表情で躱していった。

充「どうしたのぉ？足は一流だけど、手は三流以下みたいだね」

灰崎は避けられ続け疲れていた。

充「あれ？もう終わりぃ？」

『じゃあこれはどうかなっ！』

Aは一星の顔面すれすれに足を蹴りあげた。しかし一星はそれすらも寸でのところで躱した。

『チッ……』

充「女性がそんな野蛮なことしちゃダメだと思うんだよねぇ」

ヒ「おぉっと！背中ががら空きだぜェ？」

Aの蹴りを避け後ろに下がっていた一星は、簡単にヒロトに背後をとられていた。

『ナイス吉良君。灰崎やっちゃえ♪』

灰「あぁっ！」

灰崎がそう言って思い切り拳を振り上げたその瞬間、明日人と剛陣が灰崎を止めに間に入ってきた。

『また邪魔が入った……』