夜桜と美しき女神５〜オリオンの刻印〜

２０４． ページ4

円堂達と分かれAは自宅に帰ってきていた。








家の大きな玄関を開けると、使用人達が笑顔で迎えてくれる。








「お帰りなさいませお嬢様」








「お嬢様の多大なご活躍、使用人一同拝見させていただいております」








『あっそ』









嬉しそうな笑顔を向ける使用人とは正反対にAは素っ気なくそれだけ言い自室に戻っていった。









自室に戻って休んでいると、執事の箕浦が部屋の扉をノックする。









箕「お嬢様、旦那様からお電話です」









『………』









Aは黙って箕浦から電話を受け取った。









『……はい、Aです』









梓《A、FFI本戦出場おめでとう。








海外でもお前のことはテレビでずっと見ていた》








電話越しに聞こえてくるAの父親、皇梓真。父親と言っても実の父ではないのだが。








『ありがとうございます、お父様』









梓《中々家に帰ることができずにすまないと思っている》









『いえ、お気になさらず』









Aはどこか他人行儀に父親と話す。そしてAは少し気になっていることを聞き出す。








『……お父様、今どちらにおられるのですか』









Aがそう問いかけると梓真は少し沈黙する。









梓《……すまない。それは言えない》









『……そうですか。話が終わりでしたらこれで失礼します』









Aはそう言うと電話を一方的に切った。









『……言えないってなんだよっ








これだから信用ならないんだ……』









Aはそう言うと上着を羽織って家を出て行った。

２０５．→←２０３．

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す