１９５． ページ45
「レオナ先輩……俺は……俺は！あんたに憧れてこの学園を目指した！
俺の憧れたあんたは、どこにいっちまったんだ！？」
「勝手に俺に夢みてんじゃねぇ……うぜぇな……」
レオナ先輩はそう言って頭を抱える。
「ボクも人の事を言えた義理ではないけどね。今のキミは見るに堪えない。
謹慎部屋に入って、少し頭を冷すといい！」
「……お前らになにがわかる？兄貴みてぇに俺に説教たれてんじゃねェよ……」
兄貴？この人は一体何にイラついているの？
「フン。お主のような男には、王冠よりその首輪が似合いじゃ。
サバンナの王者のライオンが聞いて呆れるわ」
「……あぁッ！？」
今まで黙って見ていただけのリリア先輩がそう言ってレオナ先輩の前に立つ。
「お主は持って生まれた才や順序のせいで王になれぬと嘆いておるようだが……
報われぬからと怠惰に生き、思惑が外れれば臣下に当たり散らすその狭量さ。
その程度の器で王になろうなどと……我らが王、マレウスと張り合おうなどと、笑わせる。
たとえマレウスを倒したとて、その腐った心根を捨てぬ限り……
お主は真の王にはなれんだろうよ！」
リリア先輩の正論じみた言葉に、私は茫然としてしまう。
トラウマ並の脅かしを仕掛けてくるようなあの人が、こんなにも頼もしく大人な人に見えることに驚いていた。
「は、はは……アァ、そうだな。そうだろうとも。お前の言う通りだ……はははは！
俺は絶対に王になれない……どれだけ努力しようがなァ……！」
その瞬間、あたりの空気が今度は淀んでいくのを感じた。
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作者名：梅こんぶ | 作成日時：2020年11月15日 0時
