バレませんように【カリム】

４． ページ4

「カリム、また絨毯を勝手に持ち出したな？」

「ち、違うって！絨毯がオレの所に来たんだ！

な！ジャミル！」





カリムは後ろに立つ、長い黒髪を1つに束ねている同い歳くらいの従者に助け舟を求める。

従者は呆れ顔、父親もまた呆れ顔で額を抑えていた。





『ｸｽｯ』

「「？」」

『あっ、ご、ごめんなさいっ……』





その様子を見てつい笑みが零れるA。

とっさに謝罪の言葉を言うが、扇を広げ口元を隠しながら口は笑みを浮かべていた。

それを見たカリムは、ジッとAを見つめてくる。





「……カリム？」

「な、なぁ！よければ今からオレと一緒にコイツに乗って飛んでみないか？」

『え？』

「カリム！？」





カリムの従者が驚いた顔でカリムを見る。





『絨毯で、空を？』

「コイツは魔法の絨毯なんだ！これに乗って、熱砂の国を案内してやるぜ！」

『平気なの？』

「オレを信じろ！」





カリムに手を差し出され、Aは自然とその手をとっていた。

絨毯に乗ると、その絨毯は飛びだしてバルコニーから外に出る。

次第にカリムの父親とAの母親の姿が小さくなっていく。

2人とも、笑顔で手を振っている様子だ。「楽しめ」ということだろう。




「しっかり捕まってろよ！」





気づけば先程までいた屋敷はあっという間に見えなくなっていた。






「はぁ……カリムのやつ。急にどうしたんだ」





ジャミルは呆れた顔で絨毯に乗って飛んでいく2人を見て呟いていた。

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