バレませんように【カリム】

１３． ページ13

「明日戻るのかぁ……もうちょい実家の安心感を感じてたかったな〜」

『何？ホームシックってやつ？』

「へへっ、どうでしょうか。

……なんかさ、俺ら生まれてからずっと一緒だったじゃん。

全寮制の学校行って、初めてAと離れたときさ、すげー物足りなく感じたんだよな」




フランは空を見上げながらそう呟く。




「はぁ〜あ。Aも一緒に行けたらよかったのにな〜」

『なに？シスコンにでもなっちゃった？』

「え〜！Aは俺と離れて寂しくなかったわけー？」

『フフ、どうでしょうか』




Aは笑って誤魔化し、農具を持って双子の片割れと共に家に帰る。




「なぁA」

『なに？』

「俺、ちゃんと学校卒業して、この国一番の魔法士になってAとずっと暮らすことにするよ。

そしたらさ、お前も政略結婚なんかする必要ないだろ？」

『！もうフランったら……でも、ありがとう。すごく嬉しい』




Aが微笑むと、フランもまた笑みを浮かべた。

２人のお揃いの耳飾りが風に靡いて揺れる。




「……さてと、そろそろ帰るか。

ゆっくり話してたら真っ暗になっちまうし」

『そうだね』





そう言って歩き出して道に出た瞬間だった。





『！フラン危ないっ！！』

「え？」





曲がり角から暴走した荷馬車がこちらに向け突っ込んできて、よそ見をしていたフランに直撃した。

その場の空間がスローモーションに見え、目の前の映像が元に戻る頃には、Aの視界に映っていたフランは、足元で血を流して倒れていた。

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