バレませんように【カリム】

２． ページ2

「ようこそ、リー夫人。本日はどうぞよろしくお願いしますよ」

「えぇ、こちらこそ」




そう言って玄関から迎えてきたのは、縁談相手の父親だった。

金持ちだと言うことを鼻にかけたようなきらびやかな装飾品が目に刺さる。





「そちらが、お嬢さんですかな？」

「えぇそうです。さぁA、ご挨拶なさって」

『……A・リーです』

「美しい方だ。これならきっとうちの息子も気に入る」

『それはどうだろう……』

「何か言いましたか？」

「いいえなにも！さぁ、早速中でお話しましょう」





母親がすかさずフォローに入ったのでその場は凌がれた。




「はぁ……A、お願いよ。

いつもみたいに、縁談相手を怒らせたりしないでちょうだいね」

『私がもし気に入らなかったら？』

「A……大丈夫よ。この家のご子息様はとっても良い人だと聞いてるわ。

きっと貴方も気に入る」

『それは会ってから私が決める』




Aはふてぶてしい顔をして商家の大きな屋敷に入っていった。

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