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幼い頃から恋や愛といったものが大好きだった。
絵本の中の愛はあまりにも美しい幻想なんだってすぐに知ったけど、それでも憧れた。
小中学校では少女漫画や恋愛に関する本を読み漁り、恋愛マスターとまで呼ばれ女子達から慕われていたが、実際には彼氏の一人も出来なかった。


憧れが強すぎたのかもしれない。好きだと言われてもピンとこなくて、たった数回あった彼氏出来るかもしれないチャンスを棒に振った。ついでに難攻不落の恋愛マスターとかいうゴツいあだ名を裏でつけられていた。しかもそれを知ったのは中学卒業式の翌日だ。



開き直った私は他人の恋愛を楽しむことにした。
他人の恋愛を見ているのはとても楽だ。何か起こっても所詮他人事、私にはミリも関係がない。
けれど十分にトキメキを得られていた。



つまり私はこの生活に非常に満足していたのだ。
本屋でバイトを始め、少女漫画の新刊をすぐに購入出来るようにもなったし。




(あ、これの発売日って今日だっけ……バイト終わったら買おうかな)




なんて考えながら本の整理をしていた私の手元に、ふっと影が落ちる。
反射的に見上げれば、しゃがんでいる私の真横に立っていた彼と目が合った。




(う、わぁ……きれーな顔……)




お世辞なんかじゃなく、心の底から整った顔だと思った。そこらの男子とはレベルというより、そもそもステージが違うくらいにかっこいい。
さっき干からびたみたいな宣言をしたが、私はこれでもまだ恋したい盛りの女子だ。イケメンにドキッなんてことは一応するに決まってる。




『なにかご用でしょうか?』


「本を買いに来たんだ、よかったら君のおすすめを聞かせてくれないか?」


『えっと、ここ少女漫画コーナーですが……?』




困惑気味にそう伝えると、彼は「君が選んだものが知りたいんだよ」と言った。
いや、男が少女漫画を読まないなんて偏見だ!本屋で店員やるくらいならそんな偏見を持つな、私!

私はもう一度笑顔を作る。にこ、と彼が笑い返してくれた。




『私のおすすめでしたら……、』




その時、隣から注がれる熱い視線には気付かないまま、私は大好きな本達の紹介を始めていた。

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ねむ - 一彩くん推しなので終始ドキドキが止まりませんでした...♡最高な物語をありがとうございます😭 (2023年2月26日 22時) (レス) @page15 id: a6f4e7ce9f (このIDを非表示/違反報告)
朱桜馨 - 主人公ちゃんとひいろが可愛い… (2020年9月17日 15時) (レス) id: 3526ff08b8 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - りんさん» りんさんコメントありがとうございます!今日ちょうどこはくくんの新作を公開したのでよければそちらも読んでくださると嬉しいです^^ (2020年5月21日 22時) (レス) id: 29281c3049 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 初コメです♪クレビpなのですが一彩君にハマりそうな勢いです…!!時間に余裕あればクレビのこはくでもぜひお願いしたいです*° (2020年5月21日 14時) (レス) id: 385319c63b (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 水無月さん» 最後まで応援して下さりありがとうございます。水無月さんには何度もコメいただき、とても嬉しかったです!こちらこそ最後まで読んでくださりありがとうございました^^ (2020年3月30日 11時) (レス) id: 29281c3049 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まり | 作成日時:2020年1月30日 0時

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