酩酊と体温:I ページ6
Aを独り占めした夏祭りから、何週間かたって、いつしか学校も始まった。
学校が始まってしまうとお互いの授業やバイトやサークルで、2人きりになる時間なんて全くと言っていいほどなくなってしまった。
焦っているわけじゃない。
早く先に進みたいとも思ってない。
だけど、たまにはゆっくり、2人で話す時間が欲しいな、なんて思いながら、まるでいつも通りに過ごしてる。
そんな時だった。
目覚ましとは違う音によって起こされて、時計を確認したら深夜の2時を過ぎていた。
こんな時間に携帯に電話がかかってくるなんて。一体誰が何の用で。
ディスプレイの眩しい光に目が慣れてくると、飛び込んできたのは、愛しいあいつの名前だった。
岩「……はっ？」
寝ぼけた頭が一気に覚める。
慌ててAの名前をなぞって、スマホを耳に当てた。
岩「……もしもし、」
返ってきたのは。
「あっ、出た！」
男の声だった。
岩「おい、お前誰だ。Aのなに？」
「ちょ、怒らないでください、俺ただのバイトの後輩です」
岩「……は？バイトの後輩がこんな時間になんでAのスマホで俺にかけてくるんだよ。Aはどうした」
訳がわからなくて、心配で、イラだって、色んな感情がいっぺんに沸き立って、思わず凄むように男を詰った。
「落ち着いてくださいって、俺なんも悪くないんで！Aさんと居酒屋で飲んでたんですけど、Aさんブッつぶれちゃって、助けてほしいんです」
岩「助ける？」
「はい。まあ、1人で帰れなさそうなんで、迎えにきてほしいんスよ。なんか帰りたがってるんで」
岩「ちょ、ちょっと待て、今どこにいる？」
「駅です。あ、ちょっ、Aさん！なに？コンビニ行くの？一旦待って俺いま電話してるから！……と、とりあえず来れそうですか？！」
岩「わ、わかった、とりあえずすぐに行くから。ごめんな、もうちょっと面倒見ててくれ！」
「結構大変なんでダッシュでお願いしまーす！あ、チャリは乗れなさそうなんで徒歩の方がいいかもしれないっス！……あーあーAさん！ウザいからジャンプしないで！」
電話を切って、後輩だという男の悲痛な叫びを遮断した。
頭を抱える。
まったく、なんてこった。
こんなこと初めてだ。
今はまず、急いで家を出なければいけない。
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しょぴお - このお話すごく好きでした。今まで更新お疲れ様です。ずっと読んでました。笑 お話の終わり方がすごい、いい感じですね。このお話大好きです。 (2019年5月31日 19時) (
レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 続編待ってます。 (2019年5月30日 11時) (レス) id: f9aa5203aa (このIDを非表示/違反報告)
Momanao(プロフ) - 続編、楽しみにしてます！なんか...嵐が吹き荒れる予感が... (2019年5月16日 1時) (レス) id: a8ed6fc393 (このIDを非表示/違反報告)
しょぴお - 話を読んでて泣きそうになった…。いや、泣く笑 (2019年5月14日 22時) (レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
ミックスジュース(プロフ) - なべしょに頑張って欲しい！この作品大好きです！！これからも頑張って下さい！楽しみしています(^○^) (2019年5月14日 20時) (レス) id: 6b8cfc92fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2019年2月1日 14時
