夏祭り ページ42
駅で待ち合わせて、電車に乗って、数駅先で降りて。
その間ずっと、楽しさと気恥ずかしさと、緊張が、満ち満ちてた。
照の身長が高いから、あたしの視界から照の表情は伺えない。だけどその話し方や、忙しなく動く手、体が緊張で強張ってるのがすごく伝わってきて、それが余計にあたしを恥ずかしくさせた。
2人の間の30センチが、妙に近くて、遠かった。
会場の最寄駅は、改札からもう混み合っていて、人で溢れていた。
「すご…こんな大っきいお祭りだったんだ」
岩「A来たことないの？」
「去年は違うところの行ったんだ」
岩「8時からちょっとだけど花火も上がるよ」
「へぇ！いいね。今年初花火」
岩「今年は最初で最後かもな。もう夏休みも終わるし」
「うっ…それは考えないようにしてるから…」
改札を出るまでにも行列ができるほどの賑わいで、先が思いやられる。
「これみんなと合流できるかなぁ」
岩「……連絡してみるわ」
「うん、ありがと」
やっとの思いで改札を抜けて、露店が並ぶ道に出た。
もうすっかり夜。
人混みと祭りの熱気もあって、じっとりと湿るように暑い。
「暑いねぇ」
岩「…………」
あたしのつぶやきに、照はなにも反応しなかった。
不思議に思って見上げたら、パチリと目が合って。
でもそれはすぐに逸らされた。
岩「……えっ、あっ、ごめん、聞いてなかった」
「あ、うん……暑いねって」
岩「そ、そうだな……」
変な汗をかく。
暑さのせいだけじゃなく、変な汗を。
2人して緊張して、それがお互いに伝わって。
もう無限ループみたいに緊張が増してく。
2人で並んで歩いてるだけなのに、照れくさくてしょうがない。
「あ、あたしわたあめ欲しいな！あと、りんご飴も！」
緊張を紛らわせるみたいに、思わず大声を出して、照の先を行った。
どうせ来たんだったら楽しみたいし、夏祭りらしいこともしないともったいない。
照に対する気持ちとか、シェアハウスのこととか、そういうの今日くらいは全部置いといて、楽しんでやろう。
少しだけ息を吐いて、照を振り返った。
「早く！あたしからはぐれないでね！」
岩「……はぐれちゃうのはAでしょ？ww」
「今日はあたしが迷子になったら照のせいだから！」
岩「めちゃくちゃだな」
照が顔をクシャッとさせて笑うので、あぁ、この顔好きだなぁと、もうほとんど本能の部分でそう思ってしまった。
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すずの(プロフ) - しょっぴーしんどみが深いです！ (2019年5月5日 2時) (
レス) id: 0281d1cc7e (このIDを非表示/違反報告)
もやし(プロフ) - 改めて最初から読み直しました！！しょっぴーが切ない…。しょっぴー頑張れ！！笑 (2019年1月25日 1時) (レス) id: e09021bb44 (このIDを非表示/違反報告)
とみちゃん(プロフ) - あなたの紡ぐ文章が読めて嬉しいです、応援してます。 (2019年1月25日 1時) (レス) id: df9c0b9860 (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - 最近は更新が毎日あって寝る前の楽しみになっています！無理せず頑張ってください！本当に文章やストーリーがお上手で感動します（；＿；） (2019年1月24日 1時) (レス) id: 32bd2067cf (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこけし(プロフ) - 阿部担だけど、なべがものすごく気になってしまいます…(笑) 物語もいよいよ佳境ですが、メンバー目線もっと読みたいです♪ 更新無理せず頑張って下さい(*´∀｀*) (2019年1月23日 17時) (携帯から) (レス) id: b63c0386f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2018年12月18日 4時
