夏祭り ページ43
「これって尻尾で破れるんだよねぇ」
岩「うわー俺こういうのイーーッてなっちゃう」
「わかる、もう手でいきたくなるよねww」
水面近くをヒラヒラ泳ぐ赤や黒の金魚たち。
2人でちっさく縮こまってお椀を片手に金魚を狙う。
「角にこう追い込んで……あぁ」
岩「あっ、破けた」
「えぇー！あたしにかかってるじゃん！」
岩「A、あとは頼んだ」
「ヤバい…追い詰められると力発揮できないタイプ……」
照がお椀と破けたポイを、露店のおじさんに返して、あたしの手元を覗き込んでくる。
金魚すくいにも緊張するし、照の顔がすぐそこにあることにも緊張する。
岩「ほらそこ、鈍そうなやついる」
「オッケー、これね」
岩「いけA！角だ！」
楽しさを隠しきれない、って感じで、無邪気に笑う照。
そんな顔で笑われたら、もどかしくて、ソワソワするよ。
あたしその笑顔、好きなんだもん。
岩「ちょ、A」
「へっ？え、あっ、金魚ね！」
気づいたらボーッと照を見つめてしまっていて、照の声にハッとして手元に視線を戻す。
「……あっ！」
岩「…あぁー！」
そしたら。
その拍子に。
あたしが咄嗟に動かしたことで、ポイが金魚の尾びれに当たってしまった。すでに紙が弱っていたこともあって、それは呆気なく破れた。
岩「A〜、ちゃんと集中しなきゃ」
「あーあ。照が覗き込みすぎたからだよ」
岩「えぇ、俺のせい？ww」
「も〜人の気も知らないで。わたあめ奢ってもらうから」
岩「俺悪くねぇじゃんww」
「あ、じゃあ射的で勝負しよ！そんで負けた方が勝った方の好きなもの奢る！」
岩「いいね、のった！」
お祭りの露店のものなんて、数百円のものばっかりで、奢るも奢られるも正直変わらない。
だけど、こんな風にまるで普通のカップルみたいに2人ではしゃぐのは、どうしたって楽しかった。
これはきっと、あたしが照のことを特別に思ってしまってるからじゃない。だってこんなの、誰と行ったって楽しいはず。
佐久間でも阿部ちゃんでもだてさんでもふっかでもなべしょでも。誰と行っても変わらなかったはず。
そう信じ込まないと、とてもこの瞬間を楽しめそうになかった。
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すずの(プロフ) - しょっぴーしんどみが深いです！ (2019年5月5日 2時) (
レス) id: 0281d1cc7e (このIDを非表示/違反報告)
もやし(プロフ) - 改めて最初から読み直しました！！しょっぴーが切ない…。しょっぴー頑張れ！！笑 (2019年1月25日 1時) (レス) id: e09021bb44 (このIDを非表示/違反報告)
とみちゃん(プロフ) - あなたの紡ぐ文章が読めて嬉しいです、応援してます。 (2019年1月25日 1時) (レス) id: df9c0b9860 (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - 最近は更新が毎日あって寝る前の楽しみになっています！無理せず頑張ってください！本当に文章やストーリーがお上手で感動します（；＿；） (2019年1月24日 1時) (レス) id: 32bd2067cf (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこけし(プロフ) - 阿部担だけど、なべがものすごく気になってしまいます…(笑) 物語もいよいよ佳境ですが、メンバー目線もっと読みたいです♪ 更新無理せず頑張って下さい(*´∀｀*) (2019年1月23日 17時) (携帯から) (レス) id: b63c0386f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2018年12月18日 4時
