(１９) ページ20
・
暫くしてから、どちらからともなく身を離して共に暗闇に包まれた廊下を歩いた。
『ねぇ、セブルス』
「なんだ」
『僕………ハリーと話してみます』
「…………」
立ち止まって、彼の目を見る。
『ハリーを守る為に。
彼にとって、頼れる大人の1人になる為に』
親戚とはいえ、ダドリー一家から酷い扱いを受けてきたハリー。
きっと大人に相談したことなんて無いんじゃないだろうか。
ハグリッドやマクゴナガル先生が今唯一
彼にとって気軽に相談できる大人、と言ったところだろうか。
『あまり、頼りにはならないかもしれませんが』
「…………少なくとも、彼にとって一番信頼できる大人は貴様だろうがな」
『………！』
「数少ない知り合いの中に両親のかつての友である貴様がいることで
ポッターはさぞかし安心するだろう」
早く話してやることだな、と穏やかな声でセブルスは言う。
『セブルスは伝えないんですか？』
友歴としては正直セブルスが一番、リリーとの関係は長かった。
ハリーにそれを伝えてあげればきっと彼等も良い関係を築けるはずなのに。
彼はなぜ、わざわざ憎まれ役に………。
「……………」
セブルスは何も言わずに僕を見つめている。
その目を見て、確信した。
彼はハリーを愛している。
だからこそ、彼を守り抜くために敢えてそうしているのだ。
憎まれ役にしかできない、守り方。
そしてきっとセブルスは、僕にはその逆の立場から……
セブルスの想いに応える為にも、僕はもっと強くあらねば。
そう決意して、再び僕らは歩き始めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おぉ、セブルス、A。
良い夜じゃな」
『…………！
ダンブルドア先生！』
動く階段に気をつけながら、大広間近くの拓けた場所に辿り着いた。
そこで急に現れた我らが校長にセブルスと二人して顔を合わせる。
「何か御用ですかな？」
「いや何、何やら青春の香りがしての」
青春の香り………？
言われた意味がわからず、またしてもセブルスに視線を寄越すが彼は校長をじっと見つめていた。
セブルスは意味がわかったようで、眉間の皺を1層深くしている。
校長の言った意味はわからないが、おそらく要件はそれだけではないだろうと次の言葉に耳を傾けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 272人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わさび(プロフ) - ぴうさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！一気読み！？あ、あまりご無理なさらずに！！！ (5月22日 22時) (
レス) id: 4f48927b1a (このIDを非表示/違反報告)
ぴう(プロフ) - うぁぁ、タイプだぁぁ面白いです！これから一気読みします！ (5月20日 18時) (レス) id: c288b38476 (このIDを非表示/違反報告)
わさび(プロフ) - 龍さん» わぁぁぁ！ありがとうございます！！そう言っていただけてとても嬉しいです！！ (2022年8月22日 22時) (レス) @page42 id: 4f48927b1a (このIDを非表示/違反報告)
龍(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！続き楽しみにしています！ (2022年8月22日 20時) (レス) @page43 id: c13f564568 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わさび | 作成日時：2022年8月1日 22時
