2001に死者の帰還を (ページ8)

今日:39 hit、昨日:2 hit、合計:6,190 hit

145話:貴方こそふさわしいページ8

・

母「あんな人となんか結婚するんじゃあなかった！！
あんたなんかｯ！産まなきゃよかったｯ！！」

……聞き慣れちゃったなぁ、その言葉も。
前回の私はここで母を殺したけど、今回は殺さないでココから逃げる。今までの経験上私が殺さなくても母は近くの海で勝手に死んでくれる。
まぁそのせいでこの家すっごく荒れるんだけどもう二度と帰ることはないし関係ないか。

私は走って家を飛び出した。
追ってこない……そっちの方が都合いいけど。

あの路地裏で待っていれば、リタは私を見つけてくれた。
やっぱりキミは私を助けてくれた。
何も知らないフリをしながら話さないとね。

私の手を引いて歩くリタがふとこちらを見た。
優しい彼を見ているだけで心が暖まっていくのを感じる。

リ「上、見てみ。……ほら、今日はすげーキレイな星空が見えるんだ」

…そうね、キミに救われた今日の星空は…そうだったね。

リ「死んだ人は皆星になるんだ。だから……あれ、なんだったっけ？レオが言ってたんだけど忘れたな……」

『レオ…？』

リ「そ。オレのいる孤児院の先生。
オレ達の父親みたいな存在なんだ。
お前も何も心配しなくていいぜ、レオ、絶対OKしてくれるはずだから。
〈勉強〉はあるけど仲間もいるし、毎日楽しいからお前も気に入ると思う」

『うん…！』

暖かい手をギュ、と握りなおして、手を引かれるまま私はリタについていった。

〈……A〉

……なに？

〈これから、とてつもない苦難が待ち受けているはずです。
……ですからもう一度問いますよ。

貴方は彼らのために全てを懸け、また、
切り捨てることができますか？〉

迷いなんてないわ。言うまでもないでしょ。
これで終わらせるんだから。

〈……すばらしい。
やはり貴方だった〉

〈貴方こそ最も一月に近しい……本物のリカーラ…〉

もちろん。今さらすぎるわ。
私はA・リカーラ。
帰還する死者なのだから。