2001に奇跡の波を (ページ33)

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33話:花びらと太陽ページ33

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入院棟に移ってからは平和な日々が続いた。

今日で入院してから１ヶ月がたつけど、まだ私に問題があるらしく入院は継続されるみたいだ。
毎日見る悪夢のせいでちゃんと眠れないからか最近はちょっと体調が悪くなってしまった。これのせいかも。

今日も今日とて悪夢を見て寝れない私は夜空を眺めていた。
堂々と美しく浮かぶ月が実に忌々しい。

窓から優しく吹き込む風が私の髪をなびかせる。

…ん、ノック？

看「失礼します。あら、眠れないの？」

『…また、悪い夢を見ちゃって…』

看「そうなのね…どうしましょうか、最近体調が良くないものねぇ…。
あ、そうだわ。先に、コレ。

貴方に渡してほしいって、この花束を渡されたの。一応調べたけど中に危険物はなかったわよ。花瓶に入れておくわね」

花束…。

看「あら、それは何の本？」

『ファンタジー小説ですよ。
題名は〈2001年の約束〉。長いんですけど読み返してます、ついに最終巻まできたんです』

そういえばカチューシャにも全巻あったな、あのときはまだ興味なかったけど。

一巻は1900年代の話だけど巻がすすむにつれて小説の中の時もすすんでいって、主人公が世代交代していくのよね。

手から火が出たり水が出たり…超能力を使う戦闘シーンがとても魅力的で。そんな、現実からは程遠いファンタジーのお話が好きになった。非日常に憧れてた。

超能力の世界で、悪の組織に家族と恋人を殺された主人公が絶望しながらも戦い抜き、死んでしまう。犯人に復讐することができないまま。
でも彼の想いを受け継いだ子供とその子孫達が戦い続け、そして最終巻…

2001年の春…ついに敵に勝利する。

だから〈2001年の約束〉。
今年が2001年だから気になってしまった。

看「読書もいいけど、眠たくなったらちゃんと寝るのよ？
じゃあね、おやすみなさい」

看護師さんが出ていったあと、飾られた花束を見てみた。

ほんと、誰が贈ってくれたんだろ。
退院したらお礼をしなくちゃね。

美しい花を一撫でして、もう一度夜空を眺める。

『…あぁ…リタは、死んだのね…。
太陽は、沈んだのね…』

「ならば、僕があんたの太陽になります」

！！？

「やっと見つけた、A」

窓から無数の花びらと共に現れたのは、

『…ｯ……ジョ、ジョルノ…？』

もう一つの太陽だった。