第101話 調査 ページ6
沖田side
「ここか……」
歌舞伎町でも中心部から外れれば、どこにでもあるような田舎の風景になる。
同じような家が並ぶその中に、目的の人物はいた。
「ちょいと、すいやせん」
声をかけると、男はゆっくりと振り向く。若くもないが、かといって年老いているわけでもない。いわゆる、お父さん世代と呼ばるような。
「何か? 」
「あんた、10年前の一夜で滅びた北の村の出身だろィ?
この娘に見覚えはありやすかィ? 」
男は畑を耕す手を止めて、疑うような警戒するような瞳で俺と写真を交互に見る。
もちろん、旦那の撮ったストーカー風の写真ではなく、Aちゃんの顔がハッキリと写ったもの。
しばらく凝視した後、思い出したように小さく呟いた。
「Aちゃん……? 」
同時に懐かしいものに触れたような表情と声色になる。
「この子がなにか? 」
突然尋ねてきた男が、知り合いの写真を持ってるのは不気味だし、疑問しかないだろう。
隠す必要もない。自分の身分を明かし、あの一夜に何があったのか聞きたいと告げれば、複雑な表情になった。
「あれは、私たちにもよく分からないんだ。
村人が何かに取り憑かれたように、隣人を襲い出して……
かと思ったら、今度は黒い服の男たちが一斉に村を制圧し始めたんだ。
そうしてる間に、女性や子どもたちの多くは吉原に連れてかれてしまった。
悪夢のような日だったよ……」
聞けば、この男とAちゃんの両親とは友人関係だったらしい。
場所をその男の家の玄関に移し、出されたお茶をすする。
思い出したくないことを、聞いたのは悪いと思うが、こっちもなりふり構っていられない。
「この娘が誰かに恨まれる……なんてことありやすか? 」
「Aちゃんが? 村の人に?
ないない。ここにいた時はまだ7つだよ?
みんなに可愛がられてたよ」
だろうな。また空振りか。
にしても、一夜にして滅びた村。そんな大きな戦の記録がほとんど残っていないのはいささか疑問ではある。
何か大きな力が働いているのか?
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月夜の光(プロフ) - SARAさん» コメントありがとうございます!遅くなり申し訳ありません!読んでくれて嬉しいです!カメ更新ですが、よろしくお願いします! (1月8日 20時) (レス) id: 26850a1960 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の光(プロフ) - 寝子/猫さん» コメントありがとうございます!!遅くなり申し訳ありません!うぶな神威くんの行き着く先を一緒に見守ってください! (1月8日 20時) (レス) id: 26850a1960 (このIDを非表示/違反報告)
SARA(プロフ) - 1日で読み終わっちゃいました!大好きです♡更新またあるといいなあ… (10月1日 16時) (レス) @page5 id: 000b3a28d3 (このIDを非表示/違反報告)
寝子/猫 - 恋にうぶなかむいくん尊い (8月26日 1時) (レス) @page5 id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2023年8月6日 14時