第6話 夜の街 ページ7
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陽が沈む
白い月が姿をみせる
大通りの店に灯りがつき、
美しく着飾った女たちが夜の街に姿を現す。
「Aー早く来てー! 」
『今行きますー! 』
「こっちもお願い」
『はーい! 』
「帯が足らないんだけどー」
『入口に置いておきました! 』
遊女が慌ただしく行き交う廊下を、
人一倍、素早く駆け抜けた。
私は的確に姉様たちの言葉に応え、呼ばれた部屋に飛び込む。
「A、ごめんなさいね。
本当は休みだったのに。
もうすぐ吉原で祭りがあるせいか、最近忙しくて」
『女将さん、』
この店、"さくら屋" をまとめる女将さんは
申し訳なさそうにする。
お客さんに出す料理の盛り付けをしながら
顔だけを女将さんに向けた。
『いいんです。これくらいさせて下さい。
私が今もここで働けてるのも、
女将さんのおかげですから』
「A……」
『早く終わらせて、休憩しましょ! 』
そう私がつとめて明るく言ったその時だ。
「きゃぁ! 」
甲高い叫び声。
驚いて外に飛び出ると、
道の真ん中に遊女と浪人らしき男。
道ゆく人は横目でみながら、誰も止めない。
むしろ、好奇の目で様子をうかがっている。
「なんだいケンカかい?
これ以上騒ぎ大きくするなら、
百華を……って、A! 」
浪人は遊女の胸ぐらを掴み、遊女も負けじと何かを叫ぶ。
「デカイ顔してこの街歩くのも大概にしな!
ここは女の国だよ」
「貴様ぁ! 」
『その辺でやめて下さい』
男の手を掴む。
私の姿を確認すると、さらに厳しい目つきになる。
遊女から手を離したと思うと、今度は私の胸ぐらを掴んできた。
男の癇に障ったのだろう。
『いっ、た』
「邪魔をするな! 」
想像以上に力が強い。
苦しい……
その瞬間、私は一気に息を吸い込むことができた。
胸の圧迫感がなくなる。
「乱暴はよしなよ。
女は大切にしなきゃいけないヨ」
そう遊ぶようなトーンの声がした。
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月夜の光(プロフ) - ありちゃんさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです(;o;)もっと上手に表現できるように頑張ります!ありがとうございます! (2021年2月28日 15時) (レス) id: e8dd5af318 (このIDを非表示/違反報告)
ありちゃん(プロフ) - 月夜の光さんの神威が好きすぎて他の作品見れなくなりそうです!!キュンキュンします(^^)更新楽しみにしてます (2021年2月27日 20時) (レス) id: 15fe9d02c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2021年1月2日 22時