第31話 神威さん ページ32
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改めて見る横顔はやはり整っている。
道ゆく人や、客引きをする遊女たちの視線が集まっていることに彼自身は気づいてるのかな…
その視線は彼に向けられた後、必ず私にも降り注ぎ、なんであなたが? という顔になる。
「じゃあ、今度は俺も連れてってよ。地球の食べ物は美味しいからね」
視線から逃れることに必死になっていた私は最初何のことか分からなかったが、団子屋のことだと理解する。すぐに返事は出来なかった。
なんせ、この人との距離が掴めない。名前も職業も知らない。でもなぜ私が誰かに狙われている(仮だけど)ことを知っているのか。
友達…ではないよね…
顔見知り…?
『で、では、名前を教えてください……』
最初に知るべきだった情報を聞き出せば彼は、
"神威" と名乗った。
『神威さん……? 』
「何? 」
確かめる為に復唱しただけなのに、答えてくれた事が意外だった。まるで正解だと言ってくれてるみたい。
『ご職業は、』
「何その質問。俺らお見合いしてるの? 」
上手く聞き出せない……!
そんなことをしてる間にアパートに到着。木でできた階段を登ればギシギシと音がして、いつ壊れてもおかしくない。
案の定、ボロい階段だねと神威さんは呟いた。
『ありがとうございました』
「どういたしまして」
情報を聞くのは今日はやめにしよう。送ってくれたのに根掘り葉掘り聞いて不快にさせたくない。
鍵を開けて家に入ろうとすれば、後ろからガッとドアを閉じれないように黒いブーツで押さえられる。驚いて振り返れば神威さんの顔が目と鼻の先。
『神威さん、』
「詳しいことは言えないけど、俺の職業は海賊。
でもアンタに危害を加える気はないから」
これが知りたかったんだろ、と言わんばかりの目。
危害を加えられるなんて、考えもしなかった。だって怖いとは思ったのは事実だけど、彼は最初から私を助けてくれたのだから。
神威さんの顔が目の前にあることが耐えられなくなり、高速で首を縦にふり、了解の素振りをみせる。
「じゃあ、団子屋楽しみにしてるよ。A」
左右に揺れる三つ編みを眺めながら、あれ? 行くって答えたっけと思った時には神威さんはもうどこにもいなかった。
しかし、神威さんとの約束は果たせそうになかった。
なぜなら、あの団子屋の従業員が何者かに襲われ、しばらく営業休止になってしまったから。
そのニュースが飛び込んだのは次の日のことだった。
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月夜の光(プロフ) - ありちゃんさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです(;o;)もっと上手に表現できるように頑張ります!ありがとうございます! (2021年2月28日 15時) (レス) id: e8dd5af318 (このIDを非表示/違反報告)
ありちゃん(プロフ) - 月夜の光さんの神威が好きすぎて他の作品見れなくなりそうです!!キュンキュンします(^^)更新楽しみにしてます (2021年2月27日 20時) (レス) id: 15fe9d02c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2021年1月2日 22時