第27話 余裕じゃない ページ28
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「では、今から手術を始めるアル。心配ないネ。
私、失敗しないアル」
「神楽ちゃん、それどっかで聞いたことあるセリフだよね」
神楽ちゃんはクリーム色の手袋をはめて、両手を顔の前にかかげてる。
ドラマでありがちな手術前の様子を見事に再現。
私もそれにノッてベットに横たわれば、壁に寄りかかる銀時さんが、お前まで…と言いたげな呆れ顔でこちらを見ていた。
『神楽ちゃんそれっぽい! 』
「1回やってみたかったネ」
あはは、うふふと笑い合っていれば、ドアから慌てて飛び込んできたのは新井先生。手には色々と資料をかかえて忙しそう。
これからだ、という時に先生が帰ってきてしまい、神楽ちゃんは不服そうに口を尖らせている。
「お客さんが来てしまって、遅れてすみません。
ではAさん、検査始めますね」
「じゃあ、A。俺ら外にいるからな」
銀時さんは神楽ちゃんの首根っこを猫のように掴み上げると、私に気を遣ったのか診察室の外へ。
「検査なんて言って、Aにアンナコトやコンナコトをするアルか! 」
『神楽ちゃん、怪我した足の検査だよ』
「お前はドラマの見過ぎなんだよ。そんな事あるわけ___」
「あはは。神楽ちゃんの想像にお任せします」
否定とも肯定ともとれない先生の態度に、半開きのドアを破壊しそうな神楽ちゃんと、なぜかピクリと動きが止まる銀時さん。
「いや、新井先生もちゃんと否定して下さい! 」
新八くんが口にした言葉に、同意見だ! と首を高速で縦に振る。
それを見て新井先生は冗談です、と先ほどと変わらない笑顔で補足。神楽ちゃんは大人しくなった。
去っていく3人を見送り、ベットに座り直す。
怪我をした右足を台の上に乗せた時、視線を感じた。
「A、なな、なんかあったら呼べよ……? 」
「なんでアンタまで心配してんだァァ!
さっきまで銀さん余裕そうにしてたでしょ! 」
『銀時さん……』
ドアから焦り顔で覗く銀時さんに新八くんの鉄拳がくだる。
『先生、すみません……』
「いえいえ。Aさんは万事屋さんたちに愛されてますね」
騒がしくした事と、先生が私を襲うという濡れ衣を着せられた事を含めて謝れば、先程と同じく優しい笑みで答えてくれる。
『……先生だって、そうですよ』
先生の手がピタリと止まり、私を不思議そうに見つめる。
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月夜の光(プロフ) - ありちゃんさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです(;o;)もっと上手に表現できるように頑張ります!ありがとうございます! (2021年2月28日 15時) (レス) id: e8dd5af318 (このIDを非表示/違反報告)
ありちゃん(プロフ) - 月夜の光さんの神威が好きすぎて他の作品見れなくなりそうです!!キュンキュンします(^^)更新楽しみにしてます (2021年2月27日 20時) (レス) id: 15fe9d02c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2021年1月2日 22時