第21話 境界線 ページ22
・
私はただの従業員なので、そうそう部屋には入れない。
さらに、さくら屋の従業員は
極力お客さんと顔を合わせぬようにと言われている。
そんな旨を伝えると、
あからさまにショックを受けていた。
「こう、目ン玉が三日月で、アホ毛が生えてて、
一見優男にみえて、性格はひん曲がったうちの団長」
最後のは特徴ではなくて、軽い悪口なのでは……
様々な特徴を言われても、なんともピンとこない。
首を横に振れば、男性は深くため息をついた。
『役に立てなくて、ごめんなさい。
そんな方がいたら探してたってお伝えしますね』
名前を聞けばその男性は、私への用は済んだとばかりに
よろしく〜と手を振り、ゆっくりとした足取りで姿を消した。
「A、A! 」
しばらく急足でせっせと業務をこなしていれば、どこからか私を呼ぶ声がする。
同じ歳である友人の
手には和楽器を持っている。
必死な顔をしながら高速で手招きをしている。
急ぎの用事かと駆け寄れば耳を寄せてきた。
「追加の料理注文お願い! 」
『え、また?? 』
これでもう3度目だ。しかもお酒ではなくお料理。
さっきも随分と追加したけど、と言えば苦い顔をして
「胃袋ハンパない」
と遊女に似つかわしくない言葉遣い。
でも顔は良いわ、と聞いてもないことを報告してきた。
「何してるんだ。音が止まっておるぞ」
「はーい。すぐ行きますぅ」
襖の奥から雅が呼ばれて、ニコニコ愛想よく返事をする。
雅の影に隠れて姿は見えないが、相当な食いしん坊のよう。
親指でグッと了解のサインを出せば、彼女はごめんと手を合わせた。
少しだけその食いしん坊の人が気になったけど、
私には関係ない。
遊女でもない私は
あの襖の中には入れないのだから
・
482人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月夜の光(プロフ) - ありちゃんさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです(;o;)もっと上手に表現できるように頑張ります!ありがとうございます! (2021年2月28日 15時) (レス) id: e8dd5af318 (このIDを非表示/違反報告)
ありちゃん(プロフ) - 月夜の光さんの神威が好きすぎて他の作品見れなくなりそうです!!キュンキュンします(^^)更新楽しみにしてます (2021年2月27日 20時) (レス) id: 15fe9d02c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月夜の光 | 作成日時:2021年1月2日 22時