第42話 世間話 ページ43
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『開いてる……』
予想外の結果に目を白黒させてれば、神威さんが早くと言った様子で私を見てくる。
銀時さんたちと来た時とは違い、外の大通りに面してる席ではなく、端っこの席に座る。日を避けるための傘の屋根がついており、神威さんは自分が差してた番傘を閉じた。
神威さんの一連の動作をみて、思いつく。
夜にしか会ってなかったから気づかなかったんだ。この傘は敵を倒す為だけじゃない。昼間に顔を出す太陽から身を守る為でもあるんだ。
遠い昔。一度だけ言葉を交わした、この巨大な街を生み出した鳳仙様も、神威さんと同じく夜兎民族だったことを思い出す。
でも本人は私にそんなこと言わない。だから私も素性を聞いていいのか戸惑う。単に言わないというよりは、あえて知られないようにしてる態度だと思った。
知りたいけど、深入りをして神威さんの心を乱したくはない。
そんなことを考えていれば神威さんが店員さんにメニューを返却していた。
「お姉さん、店のメニュー全部」
「ぜ、全部ですか? かしこまりました」
『じゃあ、私もそれで……え?! 』
一般人の注文の量とはかけ離れてた為、店員さんも私と神威さんを交互に見やる。確かにメニューは団子だけじゃない。選ぶのにも迷ってしまうくらいの豊富さだ。しかし今はそのメニューの多さが財布を泣かす敵となった。
私は急いで訂正をして、とりあえず団子の盛り合わせを頼む。神威さんには睨まれたが、お財布と相談した結果だ。今になってさくら屋に来た彼の大食いっぷりを思い出す。
『えっと、暑くはないですか?』
団子が来るまでの短時間。沈黙を突き通すのもどうかと思い、話のタネにならないか、目についたものをとりあえず口に出す。季節は秋になりつつあるが、昼間に厚手のマントを着るにはまだ早い気がした。
「別に」
涼しい顔して一言で答える神威さん。
あまり世間話をしない人なのかもしれない。無理してなにか会話を続けようしない、言いたいことを言うだけ、という雰囲気。
時々神威さんは観察するように私をまっすぐ見つめてくるので、きっとつまらない訳ではないと思う。多分……
けど、すぐに運ばれてきた団子にすぐに彼の視線は奪われる。一瞬で神威さんの胃袋に吸い込まれたのは言うまでもない。
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月夜の光(プロフ) - ありちゃんさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです(;o;)もっと上手に表現できるように頑張ります!ありがとうございます! (2021年2月28日 15時) (レス) id: e8dd5af318 (このIDを非表示/違反報告)
ありちゃん(プロフ) - 月夜の光さんの神威が好きすぎて他の作品見れなくなりそうです!!キュンキュンします(^^)更新楽しみにしてます (2021年2月27日 20時) (レス) id: 15fe9d02c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2021年1月2日 22時