第23話 お持ち帰り ページ24
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楽しげな楽器音や先程まで聞こえてた会話は止まり、
ものすごい気まずい雰囲気が漂う。
近くにいる雅に視線だけで助けを求めるが、
彼女は友達の告白現場を目撃した、
みたいな雰囲気で勝手に盛り上がっている。
助けを乞いてもムダみたい。
「煌びやかな遊女より、
あのような素朴な
やはり貴殿は目の付け所が違いますなぁ」
扇子であおぎながら、先程と同じく大声で笑う。
姉様たちは反対に、すごい目つきで見てくる。
あとが怖い……
「じゃあ、旦那。俺はもう帰るよ」
見覚えのあるマントをふわりと羽織り、
真っ直ぐ私の元へ歩いてくるのは、
間違いなく彼だ。
「この店広くて迷っちゃうから、
出口まで案内よろしくね。従業員さん」
『あ、あの』
クルリと私の体の向きを変え、半ば無理やり部屋から退出させる。
後ろから焦った声が聞こえてきた。
「ま、まだ話は! 」
「あぁ。その事だけど……
私の肩に手を乗せたまま、低い声で言い放つ。
気になって後ろを見上げれば、声とは裏腹に
私に微笑みかけてるようにみえる。
じゃあねと子供のように彼は手を振った。
まだ襖の中から騒ぐ音がしたが、面倒だというように私の手を引く。
コロコロ変わる展開に追いつけず、彼の歩く速さにも中々追いつけない。
左右に揺れる三つ編みを眺めながら、
私の意思と関係なく歩く彼に着いてくしかない。
『さ、さっきのお料理どうするんですか! 』
いつまで経っても、何も言わない彼に痺れを切らし
とりあえず今1番の疑問をぶつけてみる。
「他にも言いたいことありそうなのに、
それ聞くとかアンタ、ズレてるね」
アハハと明らかな愛想笑いをぶつけられ、バカにされた気分になる。
他人事のように言ってるけど、あなたの為に用意したんです!
『だって、用意したのに……』
いくらこの人が偉い人でも、反論したくなる。
が、自分の気の弱さが勝ってしまい、
結局反論じゃなくてただの不貞腐れた子供だ。
「俺、美味しいものは残さないよ」
『の、残してたじゃないですか』
「あれ全部テイクアウトしたに決まってるだろ。
俺の部下があとで取りに行くから」
今流行りだろ? と自信ありげに彼はニコリと笑った。
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月夜の光(プロフ) - ありちゃんさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです(;o;)もっと上手に表現できるように頑張ります!ありがとうございます! (2021年2月28日 15時) (レス) id: e8dd5af318 (このIDを非表示/違反報告)
ありちゃん(プロフ) - 月夜の光さんの神威が好きすぎて他の作品見れなくなりそうです!!キュンキュンします(^^)更新楽しみにしてます (2021年2月27日 20時) (レス) id: 15fe9d02c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2021年1月2日 22時