【d!】星空を観に行こう (ページ10)

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かなりヤギ/rbr ページ10

あー、仕事がつらい。
そう思ったのは晴れた日の日曜日。休みだというのにいつも通り早起きをしてしまった。
日曜日が来ると月曜日が背後まで来た気がして嫌だ。土曜日大好き。ずっと土曜日がいい。
いや、先週の土曜日は金曜日までで仕事が終わらずに、休日なのに出勤したんだった。土曜日もだめだ。

もう毎日がだめだ。あーあ働きたくない！

寝ぼけた頭の中で駄々をこねて、またタオルケットに包まった。
せっかくの休日だ。昨日と合わせて珍しくちゃんとした連休だというのに、昨日は寝て過ごしてしまった。今日こそ有意義に使わないと。
とはいえ、彼氏とも数か月前に別れたのだ。頭おかしいくらい忙しい時期に別れ話をされて踏んだり蹴ったりだった。
しかもその理由は、私が浮気しているなどという妄想。
あんまり会えない？仕事でへとへとなせいで休日は死んだように寝ているだけだわ。社畜舐めんな。

思い出すと腹が立ってきた。今日はもうとことん癒されに行こう。
ベットから這い出て顔を洗い、外出用のフルメイクをすれば少し気力も湧いてきたような気がする。

今日はプラネタリウムに行こう。

前の彼氏と何回も行ったプラネタリウム。隣で奴は寝てたけど。
私はすっかりあの空間の虜になってしまった。
プラネタリウムは家族連れかカップルが多く、正直誰かについてきてほしいけど、思い当たる友人大体彼氏持ち。
気軽に誘える女友達がいない。絶望か。

初めて一人でプラネタリウムに行く決意をして部屋を出る。太陽が眩しく、まだ午前中だというのに十分すぎる暑さだ。
やっぱり夏より冬がいい。冬にはやっぱり夏がいいって言うけど。
でも独り身に冬の寒さは沁みるかもしれない。冬って怖い。いや夏も夏祭りとか怖いわ、一人でいる自分が怖い。

仕事お疲れ様って言ってくれる彼氏が欲しい。働かなくていいよって言われたい。養われたい。ヒモになりたい。

心の中でクズな願望を並べながらもプラネタリウムに到着して、少しドキドキしながら「一人です」と言った。
周囲の人は私が思っているほど私を見ていない、なんてわかっている。わかっていても緊張するものは緊張するんだって。

ふかふかのシートの背もたれを倒して、まだ始まっていない半球のスクリーンを眺める。目を閉じると心地よくて寝てしまいそうだ。
解説の人の声もいいから余計心地がいい。

「本日は当館へ足をお運びいただき、誠にありがとうございます」

目を閉じていると、そう声が聞こえてきた。