【d!】星空を観に行こう (ページ21)

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驚いて固まった俺を見て肯定ととってしまったのか、さそり座を映して輝くはずだった瞳に涙を溜めて彼女は口を開く。

「だ、だって今まで私の話、まともに聞いてくれる人とかおらんかったから…ほんまは私、何かの気まぐれか、暇つぶしなんやろうなって、思ってたねん」

「ちょ、一回待てって」

「いいよ分かってるから、私も来てくれるってわかって、調子乗っちゃってたし。あやまるよ、ごめ」

「ッ待てって言っとるやろ！」

もう耐えられない。折角楽しそうなAを見に来たってのに。
ただ俺を真っ直ぐに見つめて、辛そうに話す顔なんて、そんな震えた声なんて。

たまらなくなって、Aの口を手でふさいだ。

「…気まぐれじゃないから。

お前とこうやって一緒におんのも、星見に来たのも、気まぐれやない。お前と一緒におりたいって思ったからそうしてんねん。」

それを聞いて俺の手を押し返そうとする手から力が抜けた時、俺は口をふさいでいた手を外し、それを一歩下がってから差し出した。

「これからも…いや、ずっと、俺と一緒に過ごしてくれませんか。

　ちなみに俺とならいつでも星見に行……ってなんで笑うねん！」

「えへへ…いや、だって…だってなんだか、う、嬉しくってさ。」

さっきまで泣いてたくせに、ちゃんと告白したとたんに、今度は俺の手をとって笑いだすなんて…って、え、手をとって…

「え、おい待て、一回確認するけど俺でええんか！？」

「いいからこうしてんでしょ？てかコネシマ、顔真っ赤だし…ふふっ」

「笑うなって！しゃーないやろ？！俺も嬉しいんや…から…さ。」

あああ、告白は絶対かっこよくって思ってたんやけどなぁ…。好きな女子に顔赤いなって、普通そういうのって男が言うもんやん…

…まあ、それはこいつが口に出してまうくらいに喜んでくれたってことで、勘弁しとくか。

「ねぇ、ほら見てよ。さそり座が見えてる。」

「…ほんまや。綺麗に見えたな。」

「コネシマはさそり座っぽいよね。」

「そうか？」

「うん

　私の話を熱心に聞いてくれる努力家さんだし、大事な時はちゃんと真面目になれるやん？あと…さっきの真っ赤な顔。アンタレスみたい。」

「最後のは余計やと思うけどなぁ…」

まあでも、確かにそうやでな。

俺はいつかAが語っていた、さそり座の話を思い出して、そう思った。

「さそり座は一つの事にすごく熱心になれる、一途な人が多いんやってさ。」

ほんまに。その通りやん。