【d!】星空を観に行こう (ページ20)

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「天気もバッチリだし、狙い通り！さ、行こっか！」

「おお…行くか。」

夏のまだ明るい夜七時。
…わざわざ少し早いこの時間を集合時間にしてくれと頼んだ甲斐があった。普段はブラウスで見えなかった肌も、楽しみにしていた私服姿も、ばっちりとこの目に収める事が出来た。写真は…流石に変態になってまうか。

「で？どこに見に行くんやっけ？」

「えっとね、ここからだったら…最寄駅から快速電車で八駅かな？」

「おお…結構行くな。」

「そりゃあね。だってずっと見たかったんやもん。ガチで場所選びしないなんてありえないね。」

嬉しそうに光を反射するAの瞳がなんだか星よりも街頭よりも明るくて。

「よし。行くか！！ほら、はよ行かな快速に乗り遅れんで！」

「え、別に歩いてでも間に合うで？！」

これ以上にあの宝石が輝くだなんて、考えただけでなんだか不思議な気分になってまう。

てか、俺って確か星見に来たんやんな？
…いや、自分で分かってはいたけど…俺、ほとんどこいつ目当てでここにおんねんなぁ。男のくせにこんなに惚れ惚れしてばっかでおったら、Aはダサいって思うんやろうか…？

‐‐‐‐‐

「ふぅ～なかなかに遠かったなぁ…」

「まあでも、準備とかしてたらちょうどええ時間になるし、ええんちゃう？」

集合した都会の街を離れて、明かりの少ない遠くへ。
一人で天体観測するには勇気がいると見たことがあるが、それは何かの比喩でもなんでもなく、光に慣れすぎてしまった現代の日本人が単純に暗い中で活動するのを怖がるからだということを知った。

きっと横で準備をしてるこいつも、ずっと誰か自分を助けてくれる人を探してたんだろう。
ずっと行きたかったと言っていたさっきのAの顔を思い出して、少し胸を締め付けられて。

すっとこの人の、幸せそうな顔を守っていきたいと、そう思って。

「なぁ。A。あのさ。」

「どうした？水でも忘れてきた？」

「いや…ちょっと話したいことがあってさ。」

俺はずっと秘めていた想いを、口にすることにした。

「実はずっと、俺」

「…やっぱり、つまらんかったん？」

「は？」

ちょっと待て、今の雰囲気の一体どこからそうなったんや！？てかやっぱりてなんや、そんなに俺楽しくなさそうやったか？いやそんなはずない、俺だって楽しかったし…

「やっぱり、最初から気まぐれ、やったんやんな…？」

彼女から出てきた一言に、俺は衝撃を隠すことが出来なかった。