【d!】星空を観に行こう (ページ11)

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今日の解説員さんは男性の方らしい。この声も何度か聞いたことがある。少し高めで、でも落ち着いていて聞き取りやすい声。

今月のテーマは「目で見る12星座」らしい。夏にしては珍しいテーマだ。大体夏の星座とか、天の川の話とかなのに。そういえばそれは7月に見た。

「自分が何座かをご存じの方は多いと思います……さて、自分の星座が空に浮かんでくるのはどの季節なのかご存知でしょうか。

現在の空は今晩7時ごろ、太陽が沈み星がだんだんと輝き始めた時刻です。

例えば今日、8月16日生まれの方は獅子座ですが、今日の夜に空を見上げても獅子座を見ることはできません。

誕生星座というのは、黄道に近い12の星座で空を12のお部屋に分け、そのどの部屋に太陽があるかで決まるものです。

そのため太陽の沈んだ後の夜、星がきれいに見える時間帯には誕生星座は既に沈んでしまっているのです。

現在の空は今晩9時頃、南の空には夏を代表する星座、さそり座が上ってきています。

さそりの心臓にあたる真っ赤な星、アンタレスは、……」

華やかな夏の星座が綺麗に並んでいる。天秤座、いて座、ひときわ目立つさそり座。それぞれに加え夏の大三角、そして天の川にも言及があった。

徐々に空が動いてゆき、空は華々しい輝きの夏の星座から、少し寂しい秋の星座へと移りつつある。

「秋の空になってまいりました……北の空に『ｗ』に見える星の並びがあります。カシオペア座です。

12星座では南の空から山羊座が上ってきています。

普通の街中では見えない三等星以下の星たちの並びが逆三角形に見えます……

街明かりのない場所では見える星座です……」

普段の街中では、空に星なんてなかなか見えない。少し暗い場所に行って数個。
プラネタリウムは私に、星は無数にあるのだと教えてくれる。どんな名前がついているのかもわからない星もたくさんある。

でも、いつも取り上げられる星は目立つ星ばかりだ。山羊座の話なんて初めて聞いたかもしれない。

星だって格差社会なんだな。
……意味の分からない感想を抱いてしまった。相当疲れてるな私。

ぼんやりと解説の声を聴く。相変わらずいい声だ。

秋の星座を足早に終えて、次はまた華やかな冬の星座が上ってくる。
オリオン座におおいぬ座、こいぬ座。そして双子座、牡牛座。

美しい星の輝き。なのに、さっきまでのやたら寂しい秋の夜空が私は好きだった、……気がした。