生きる理由になれたなら弐【宇髄天元】 (ページ3)

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｢さて、これで一命は取り留めたでしょう。
………柱が怪我人を運んでくるなんて。珍しいですね｣

自分でも驚くほどのスピードで蝶屋敷へと辿り着いた俺はそのまま休ませてもらっている。

俺が急いで巻いた包帯は丁寧に巻き直され血は滲んでいなかった。

潰された左目にも包帯が巻かれ顔は包帯が半分を占めていた。

一通りの治療を終え、蟲柱胡蝶しのぶが物珍しそうに俺を見た。

普通怪我人などの事後処理は隠が行う。
それを柱である俺がここ、蝶屋敷までけが人を連れてきたからだ。

今回は隊員が一人しかおらず
隠を待っている時間が惜しかった。

村で止血をしている最中に意識を失い、心音がだんだん小さくなっていった事は明らかだったのだ。

それともう一つ。

………柱でないのに一人で相当戦い抜いたこの隊員をどうしても失いたくなかった。

｢柱でないのに下弦の参に派手に一人で戦っていた。だいぶ弱らせていた。そんなやつを死なせたく無かっただけだ。隠より俺が走った方が断然早く着くからな。｣

｢Aさんが強い事は勿論知っていましたがまさか下弦の鬼を1人で圧倒するとは…そこまでとは……｣

｢…………Aって言うのかこいつ…｣

辛そうな目線を下に向ける胡蝶。
胡蝶は彼女が羽織っていた羽織を綺麗に畳み、枕の横にそっと置いた。