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それから莉犬といつもの駅で電車を降り、今は2人で家に向かって歩いている。
「手繋ご!」何て言われて、特に断る理由もないので言われるまま手を差し出したら、私の隣でご機嫌に鼻歌を歌い出した莉犬の隣で歩くのが、特に会話もないけれど心地いい。
あっという間に家まで辿り着き、ドアを開けるとるぅとが玄関までパタパタと走ってきた。
「Aちゃん、莉犬おかえり〜」
『るぅちゃんただいま』
「ただいまー」
「さとみくんがもうご飯だって」
「今日さとちゃんのご飯だ〜!やった〜」
リビングに入ると、既に食卓に夕飯が用意されていて、忙しくて最近なかなか揃わないみんなも珍しく全員集まって席についていた。私も、手を洗って急いでなーくんの隣へ座る。
「よし、じゃあ食べよう!いただきます」
なーくんが声をかけて、皆で食べ始めた。
しかし、問題発生。
昨日までは、オムライスなどスプーンで食べられるメニューだったので、右手でも何とか食べることが出来た。でも、今日のメニューはパスタ。箸を使うのは不可能ではないけど難しいし、フォークでも右手でパスタを巻くのは想像以上に難しかった。
苦戦しながらパスタを巻いていると、それに気づいた隣のなーくんから声を掛けられた。
「…A食べづらいんじゃない?」
『ん〜…まあ、頑張る』
本音を言うと食べづらいけど、どうしようもないしと何となく答える。するとなーくんから思いもよらない言葉が返ってきた。
「じゃあ俺食べさせたげる!」
『え?いや、大丈夫だよ〜』
「はい!ほら、あーん」
『ええっあ、あーん?』
いくら何でもいい歳?した大人が食べさせてもらうなんてと思いやんわり断るも、私の返事が聞こえていないかのように、素早く私のお皿のパスタを自分のフォークに器用に巻き付け私の口の前まで運んできたなーくん。
仕方なく、若干戸惑いながらも口を開けると、なーくんはニコニコしながらもう一度パスタを巻き始めた。心底嬉しそうななーくんを前に断ることを早々に諦め、少しの恥ずかしさが残りながらもこの日は最後まで食べさせてもらった。
…途中、逆隣からポンポンと肩を叩かれ振り向くと、ニヤニヤしたジェルくんが目に入った。
『…何?』
「A、俺が口移しで食べ『るぅとくん、お願い〜』
「はいは〜い」ポキポキ
「いやごーめん!冗談やって〜!」
『いや冗談じゃなかったら本気で引いてる』
……今日もジェルくんは通常運転らしい。
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つばさ - とても楽しかったです (7月5日 6時) (レス) @page47 id: dd93105dfa (このIDを非表示/違反報告)
あや - 久々に観に来ました!何回見ても飽きないです!ここまでお疲れ様でした! (2022年8月15日 13時) (レス) id: 7e40220ef6 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - 野菜さん» 申し訳ありません…。現在リクエストは締め切ってしまっていまして、この話は「骨折」で終了する予定なんです…。ですが、続編を作る予定ですので、少し先になってしまうかもしれませんがそちらで書かせて頂きたいと思います!リクエストありがとうございます…! (2020年1月12日 2時) (レス) id: c18b45fe4f (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - さきさん» わ〜凄くわかります!!あの眠くなっちゃう現象は何でしょうね…?やっぱり安心する声だからでしょうか…! (2020年1月12日 2時) (レス) id: c18b45fe4f (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - 海月さん» 温かいコメントありがとうございます…!少しずつですがこれからも頑張りますので読んでいただけたら嬉しいです。 (2020年1月12日 2時) (レス) id: c18b45fe4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2019年9月20日 0時