【呪術廻戦】愛でしかない (男主) (ページ46)

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Episode6-3 ページ46

強烈な打撃で、口の中に血の味が
広がる。

容赦のない蹴りで、背中に壁の固さを何度も感じる。

避けようのない攻撃で、全身を強打したところを
なんとか鵺で一時回避した。

大蛇はさっきの宿儺の一撃で瞬く間に
破壊されてしまった。

呪術云々じゃない。
パワーとアジリティーの格の違いを
見せつけられていた。

形勢逆転の余地はないかと、白濁する意識で
なんとか考えようとしていると…

宿儺が一瞬にしてこちらとの距離を詰めてきて、

「いい術式だッ！」

と言葉を吐き、重い一撃を放った。

回避する術を持っていなかった俺は、
その攻撃を受けて急降下。
鵺もろとも地面に激しく衝突した。

壊される前に鵺も解いた方がいいな。

よく頑張ってくれたと、鵺の頭を撫でて術を解く。

宿儺がこちらに降りてきて、スラスラと
俺の術式について口にする。

どうしてそのような結論に至ったのかは謎だが

「分からんな。お前、あの時なぜ逃げた？
宝の持ち腐れだな」

と言ってフンッと鼻で笑った。

俺はその言葉をうまく消化できず、
グルグルと思考を巡らせる。

考えがまとまりきる前に、宿儺が言葉を続ける。

「つまらんことにお前もあの小さいのも
命を賭けたな。
この小僧にそれ程の価値などないと言うのに」

その言葉でさっきまで考えていた事が
パンッと弾け飛び……

浮かんだのは、虎杖と結月、
それから津美紀の笑顔だった。

虎杖も、結月も、津美紀も、人を呪うなんて
思考回路はほとんど持ち合わせてなくて、
自分のことよりも自分の大切な人を1番に
考えるような人間だ。

そんな善人が…少しでも多くの善人が、
平等を享受できるように…

俺は不平等に人を助ける！

みんなを救えるなんて、そんな大それたことは
思っちゃいない。
俺は俺の良心に従って、救う人を選別する。

だって俺は世界を救う正義のヒーローなんか
じゃなく、呪術師なんだから。

視界が、思考が、全神経が、数段クリアに
なった気がした。
感覚がいつもより研ぎ澄まされているようだ。

目の前の宿儺が楽しげにニヤリと笑う。

「いいぞ！お前が命を燃やすのは、
これからだったわけだ」

そう言って近づいてくる宿儺。