救ってくれたのは【フィッシャーズ】

現実 ページ22

コンビニに向かう。


モトキさんはゆっくり深呼吸し、こう言う。


モ｢俺もね、Aちゃんぐらいの時はほんとに嫌なことばっかだったんだよ。何もかも捨てたくなるぐらい。ダーマもいてくれたんだけど、学年や学校が変わるとまたやられてね。でも俺は仕返しはしなかったんだよ。｣


何故…？



私は何度かやり返したことがある。


でもモトキさんはしたことがない。




何故？




『なんでですか？』



聞きたくなった。



明日で最後。分かってるけど。



気持ちよく終わりたいから。



モ｢何故かって…？それはね、






人に対する思い、だよ。｣





思い…？



モ｢嫌いでもそれを表に出さない。優しさをだしてたからかな。その人が嫌いでも嫌いな人にはそれなりの理由があると思うからね？仕返しはしないんだよ。相手から言うのを待つ。それだけだよ。｣




そっか。



優しさ、か。



よく分からないけど




ちょっと謎が解けた気がして。




『そうなんですね…！』




明日への1歩を踏み出した。



コンビニの前の信号で待つ。


ここで助けてもらったんだ。


赤信号をぼけっと見てたら



｢あモトキくん！久しぶりだね！｣


後ろから声が聞こえ振り返ると



冷や汗が出てしまいそうで。


上手いこと避けようとしたんだ。



…モトキさんの顔なんか見ないで。

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