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十四話 ページ15

「おなかすいた!」




A様は私の服を引っ張り、辺りを見渡す。




「…では…人間を捕らえねば……」



「いや!」




餅のように頬を膨らませ、A様は顔を逸らされる。




「……しかし…」




「A、にんげんきらい!」



「たべるのいや!」






…困った…




人間を食べさせなければ、無惨様はお怒りだろう




ただの反抗心ならば構わないが…





「……では、何を食され…」



「おにく!」



「………人間では…?」



「いやなの!」





A様は涙目になり首を横に振る。




人間に肩入れしているのか…?



否、口にしたくない程に毛嫌いしているのか…





「A様」




背中を摩り、身体を揺すると私にしがみつき大人しくなる。





「…良い子だ」





人間の姿で居続けるのは子供には負荷が大きい



疲れておられるだろう







屋敷へ着き、A様を降ろそうとするが、離れようとはされない。




「……如何しました…」



「こくしぼう、おとうさんのにおい!」



「……」





手を離すとA様は鈴を転がすように笑った。





そして懐に手を伸ばすと、拳を私の元へさし出す。





「おててだして!」




「…?」




言われるがまま手を差し出すと、小さな紫色の硝子玉が置かれる。




「…これは……」




「あげるね!」




「…有り難し…大切にしよう…」





A様は懐から硝子玉を次々と出していく。




「これね、みんなにあげるの!」




「どーま、あかざ、はんてんぐ…」




鬼達の名前を呼びながら、A様は硝子玉ひとつひとつを指差す。


十二鬼月から、そうでないものまで





「……A様は…」




「?」





「私達鬼が……好きか…?」






すると、頬を赤らめて思い切り笑った。





「だいすき!」




「………そうか……」





ふわりとした頭を撫でる。





「……ならばA…」




「…私は、あの御方の子供であることは関係なく、お前を一人の鬼として扱おう」



「あの御方も……きっと…お許しをくださる…」





Aはこてんと首を傾げる





「………わからなくて良い…」




「……折角だ…遊んでやろう……何がしたい」





Aは突然立ち上がり「えっとね、えっとね」と繰り返し頭を抱える。




「…時間はある……落ち着け…」






お前は鬼に似つかわしくない




…それ程に心が綺麗だ

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(ねこたん ・∇・ - 「私を見下せたのがそんなに嬉しいか」にツボってます(( (2月25日 21時) (レス) @page4 id: f02fa02e3e (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 無惨と夢主が微笑ましすぎてつらい、気付かないうちに口角が釣り上がってしまいました! (2月18日 23時) (レス) @page43 id: e2553842fc (このIDを非表示/違反報告)
黒蝶(プロフ) - 皇帝の一人娘みたいな感じがあって好き (2022年8月9日 19時) (レス) @page5 id: 59c4260589 (このIDを非表示/違反報告)
おむれつ(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» 鬼滅の刃の漫画を拝読させていただいた際に鬼舞辻無惨が自らがいる場(無限城や遊郭など)では名を呼ばれても呪いを発動していないシーンが見受けられましたので、本作もそのようにさせ頂きました (2022年2月16日 21時) (レス) id: b911301b3c (このIDを非表示/違反報告)
おむれつ(プロフ) - 星さん» ありがとうございます!返信遅れてしまい誠に申し訳ありませんでした!これからも頑張って更新させていただきますので何卒よろしくお願いします! (2022年2月16日 21時) (レス) id: b911301b3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もきゅもきゅ | 作者ホームページ:http://mokyumokyuuu  
作成日時:2019年12月27日 21時

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