十三章 ページ13
「…………何を云うておられるのじゃ?」
芙美子さんの動揺した表情を見て、私はゆったりと微笑む。
「愛してるなら、あの大勢の人を殺した異能を使う訳がない」
「それは、夏実様の為だったのじゃ!お母上様のご命令で_____」
「私の為、と云う言い訳が、いつまで通用すると思ってるの?」
芙美子さんの顔色が、サァっと音を立てて変わる。
「駄目じゃ、其方は童の、お母上様の物じゃ」
「私を物だと思ってるの?論外ね………帰る」
「どこへ行かれるのですか!」
必死に手を伸ばしてくる芙美子さんを、ちらりと一瞥する。
どこへ行くのか?
そんなの決まってる。
「私を、本当に愛してくれている人の元へ」
乱歩さんに、会いたい。
「さようなら、芙美子さん」
でも、もう迷惑はかけられない。
「今までありがとうございました」
ごめんね、乱歩さん。
幽霊の時から、私を愛してくれて、
本当にありがとう。
川崎夏実として生きられる時間は、
どうやらここまでみたい。
ふふっ。
ほんの少しだったけど、
楽しかったな_____なんて。
思ってないよ。
だって私は、感情なんか持たない幽霊だから。
最後に、どうして私が川崎夏実として生きられるようになったのか、
その理由だけお話ししようかな。
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たろ。(プロフ) - 最高 (2022年4月16日 13時) (レス) @page16 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
茉里 - ありがとうございます!続編もどうぞよろしくお願いします!できるだけ早く更新しようと思っているので……… (2019年6月5日 6時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - 続編おめでとう! (2019年6月5日 6時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉里 | 作成日時:2019年6月4日 18時