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十二章 ページ12

「芙美子さん」

トントン、とドアを叩くと、笑顔の芙美子さんが顔を覗かせる。
「あら夏実様、ようこそ林亭へ。どうしてここがお判りに?」

「昔、芙美子さん、よくここに連れてきてくれたでしょう?」
そう。
ここは、芙美子さんと私の、思い出の場所なのだ。

「………ふふっ、覚えていらっしゃいますか?夏実様、ここでよく、『お母上様に会いたい、会いたいよぉ』って泣きじゃくっていらっしゃいましたわよね。それを童がそれをなだめましたわよね。

ご機嫌が悪くなると、階段に座り込んで、夜までそのままでしたし。童が『夏実様、そろそろお寝んねのお時間ですわよ』って声をかけましても、『嫌だ!寝ない!』って意地を張って。だんだん童も意地を張るようになって、真夜中まで喧嘩しましたわ。

お仕事がお忙しいお母上様に会えなくても、小さい頃に亡くなってしまわれたお父上様のお葬式でも………駄々をこねて、童を困らせる事はあんまりなかったですよね。本当に、偉いお子様でしたわ」

芙美子さんは思い出を語った。
ふっと言葉を途切らせると、芙美子さんの手が伸びてきて_______

「苦しかったのですよ………夏実様に異能をかけなければならなくなって」

「うん。判ってる」
伸ばされた手を摑み、笑顔で云った。

「芙美子さんが、私を愛していない事くらい」

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たろ。(プロフ) - 最高 (2022年4月16日 13時) (レス) @page16 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
茉里 - ありがとうございます!続編もどうぞよろしくお願いします!できるだけ早く更新しようと思っているので……… (2019年6月5日 6時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - 続編おめでとう! (2019年6月5日 6時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茉里 | 作成日時:2019年6月4日 18時

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