【22】メンヘラの出現 ページ22
…どうもしない、って言われましても…。
…とりあえず帰ろっか、といえば、私の隣を無言で頷いて歩き出した光太郎。
ん、と手を差し出されて、はいはいとか言って手を取った。
すると、スルスルと恋人繋ぎにされる。
『…で、どうしたの、そんなに泣いて』
「…Aさ、モテるじゃん」
『え、そうなの?知らないんだけど』
「…おう、俺にAと別れろとか言うのよく来る」
『!?』
びっくりして立ち止まり、道路側を歩いてくれる光太郎を見上げた。
普段はカッコよく見える眉が下がって笑う。
…え、それは本当に知らない。
焦って光太郎の腕にしがみついた。
『こっ、光太郎、そ、それどうしたの、』
「写真撮って捨てたぜ?置いとくもんじゃねーし」
『そりゃそうだけど、』
…追い詰めてた原因は私か。
光太郎の腕にしがみついたまま歩き出す。
『ごめん、光太郎』
「大丈夫大丈夫!…歩きにく、おーい、離れろよAー」
『やぁだねー』
…誰だ、追い詰めようとしているのは。
光太郎を追い詰めているのは誰だ。
私は、歯を食いしばった。
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作者名:莉子 | 作成日時:2024年1月4日 1時