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その時だった。
｢────｣
ほんのわずか、耳に届いた声に大きく目を開けて声の主を探した。
そして、遥か視界の先にいた彼の後ろ姿を見つけ、一目散に駆け出す。
広くも華奢な背中を必死に追いかけた。
待って……！
彼岸花の向こうに消える背中に手を伸ばした時だった。
｢……い、───？｣
がくがく、と肩を揺さぶられる感覚する。
もう少しで……あの背中に追いつけそうだったのに。
少しだけムッとしつつ、目を開けると目の前には山本の顔が広がっていた。
｢…………｣
｢寝てたみてーだけど……大丈夫か？｣
｢なにが｣
目を瞬いてから真剣な顔でそう聞いてくる山本の問いにあえて素っ気なく聞き返した。
この動揺を悟られたくなくて、立ち上がろうとしたけれど。
すぐさま遮るように彼の手が伸びてきて、その指先で目元を撫でられた。
｢泣いてる……｣
｢っ｣
触れた指先は熱く、頬が濡れていて。
ようやく自分が泣いていることに気付き、ごしごしと目を擦って顔を隠した。
｢だ……大丈夫、夢見が悪かっただけ…っ｣
なんとか作り笑いでもいいから、笑っておかないと。
余計な心配を掛けたくないし、無駄な気遣いをさせるわけにはいかない。
どうにか笑おうと顔を上げ、目の前に片膝をついている山本と目を合わせ口を開いた。
｢あの、私｣
｢A、好きだ｣
また、遮られた。
鈍器で殴られたような重い重い言葉が頭の中を反芻する。
なにを、言っているんだ……？
｢へ……｣
驚きのあまり、この場を去ろうという思考がどこかにまるごと飛んでいってしまった。
涙も止まり、まさに開いた口が塞がらない状態。
｢あ…わ、悪ぃ、つい言っちまった｣
目元を赤くしてそれを隠すように手を口元に当てそっぽを向く山本。
耳まで赤くなっていて、釣られて私まで赤くなってしまう。
｢いや、その…さ、付き合って欲しいとかじゃねーんだ。
どうしても伝えときたくて、つい言っちまった。
いきなり変なこと言ってごめんな｣
改めてこちらを向いて照れくさそうに笑う彼の笑顔にいつもの無邪気さはなかった。
とても穏やかで静かなのに、確かな熱を含んでいた。
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咲夜 - なので更新頑張ってください！ (2017年9月27日 7時) (
レス) id: c457f737d3 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - なんと......嬉しい限りです！ありがとうございます！テストよりこっち優先にしたいぐらいです！ (2017年9月27日 7時) (レス) id: c457f737d3 (このIDを非表示/違反報告)
とうか(プロフ) - この小説大好きです☆これからも更新頑張ってください☆*:.｡. o(≧▽≦)o .｡.:*☆応援してます (2017年9月26日 0時) (レス) id: 9297054df9 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - ありがとございます！嬉しいです！ (2017年9月19日 0時) (レス) id: c457f737d3 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜(べにお)(プロフ) - 咲夜さん» できる時に更新しておきたくて…(苦笑)今日は更新しませんが、毎回2~3話追加のペースで進めていきたいと考えてます (2017年9月18日 18時) (レス) id: b79b33c03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：睡 | 作成日時：2017年8月28日 22時
