【REBORN!】少女、転生す。[リング編･３] (ページ5)

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────ロマーリオside

あぁなんてわかりやすいボスだ。

目の前にいる相手がこの子で良かった。

他の女性だったら余計な勘違いをされていたところだ。

……いや、この子だからあんな油断をしていたのか。

動揺を隠すためにそそくさと出て行ったボスに苦笑を浮かべる。

まったく、からかうのは大概にしておけって言ったろうが。

きょとんとしてる嬢ちゃんには気付かれていないようだが。

付き合いの長い俺にはごまかせないぞ、ボス。

｢ったく……｣

｢あの……どうかしましたか？｣

やや高めの声に問われ、悟られぬように｢いや、なんでもねぇよ｣と笑みを作る。

嬢ちゃんは少しだけボスが出て行った扉を見つめてから、俺に向かって会釈した。

｢すみません、手間を掛けさせて。
自分でやりますから｣

｢いや、ボスの指示だ、やらせてくれ。
辛ェんだろ？
無茶すんな｣

それに今行っても、つまんねぇボスの赤面しか見れねぇしな。

その言葉を飲み込み、彼女の包帯を巻き直す。

｢嬢ちゃん、あったかいモンでも飲んでゆっくり休め。
こりゃ相当ガタが来てる｣

彼女の身体は血が足りてないせいか、疲労が蓄積されているせいか。

どちらにせよ、血色が悪い上に冷たかった。

それでも真っ青な顔で嬢ちゃんは愛想笑いを浮かべ。

｢ご心配お掛けしてすみません。
ディーノさんもお忙しいのに、面倒を掛けさせてしまって｣

こちらを気遣いながら、どこか線を引いて礼を述べた。

初対面の時からずっとこの調子だな、この子は。

傍から見たら、謙虚で気配り上手な女の子なんだろうが。

向けずにはいられない好奇の視線を嫌い、悪意に怯えている。

そして、けして自分の領域に踏み込ませることなく他者に冷たく接し、距離感を保つ。

考えていることも行動の意図も悟らせない。

しかも雹戦では、大の男を圧倒的な強さでねじ伏せたと聞く。

まるで歴戦の覇者か、隠密かつ迅速に暗殺をこなす殺し屋のようだ。