【REBORN!】少女、転生す。[リング編･３] (ページ29)

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｢待ってっ！｣

立ち上がった私の手を掴む沢田の手は、少しだけ乱暴に私をベンチへと戻した。

……何故引き止めるのだろう。

私に関わると不幸になるかもしれないと、確かに忠告したのに。

訳がわからないまま座っていると、沢田がたどたどしく話し出す。

｢Aちゃんが独りにならなきゃいけない理由なんて、俺にはわからないよ……。
君が怪我とかしたらすごい悲しいし……逆に、笑ってくれてたら、嬉しいなって思う…｣

｢……うん｣

｢俺……やっぱり君と友だちになりたいんだ！
俺だけじゃない、山本も獄寺君も、京子ちゃんやハルにクロームだって！｣

｢っ…｣

熱のこもった訴えに一瞬、怯む。

……沢田の言葉の真意に理解が及ばない。

力なく首を横に振ってみせることしか、今の私にはできない。

｢私にはわからない…どうしてそう思えるのか…人の感情は難しくて、よくわからない｣

｢Aちゃん……｣

｢けれど…想像したことは、ある。
友だちがいたらどんなだろうって｣

だけれど、想像しただけだ。

現実的に言えば、私に友だちは必要ないし、そんな存在になる資格もない。

原作の道筋を見届けるために、友だちになりたいと誰よりも最初に言ってくれた目の前の彼にさえ、嘘を吐き続けているのだから。

沢田だけでない、私なんかを気に掛けて心配してくれた人々にも…私は私の全てを話せない。

｢…沢田…ありがと。
……けれどそんなに早く、理解するのは……やっぱり私には難しい｣

｢……そ、そうだよね……急に変わるなんて普通無理だよ｣

しょんぼりとしながらも、沢田は弱々しい笑みを浮かべて頷いた。

以前のように衝突することなく理解を示してくれたことが有難い反面、罪悪感がまた募る。

｢…ごめんなさい、私は約束は守れないし、嘘だって沢山吐くの。
……独りにならなきゃいけない理由のために、そうすることしかできないの｣

｢Aちゃん……。
君にとってその理由はすごく大事なものなんだね…｣

｢……うん、とても大切｣

この言葉は本心から思っているのだと、できれば沢田にわかって欲しい。

噛み締めるように言った私に嘘偽りがないと判断したのか、彼は頷いて。

なにか言いたげな顔で、｢話せて良かった｣と会話に終わりに繋げるのだった。