５３４ ページ13
雹の炎の属性は殲滅。
生まれ持った者すら害するこの属性を制御するには、沈静の雨の炎か調和の大空は必要不可欠。
ましてや──────雹の炎を吸収する機能を備えておらず、許容範囲を超えればその先は死のみだ。
｢匣兵器を私の前にチラつかせる意味は理解出来たか｣
即座に急接近しサーベルで斬りつければ、アキレアの身体は血を撒き散らしながら瓦礫の中に吹き飛ばされていった。
しかし、相手はやはり戦士。
瓦礫から立ち上がってくるアキレアの目にはまだ私への殺意は消えておらず、戦闘に移行する拳に僅かに鋭い風が纏って頬を切り裂く。
｢殺す…殺してやるっ！！｣
狂言のような叫び。
だが、アキレアの攻撃に冷静さは消えておらず、的確に私の急所を狙い、かつ私の反撃を許さない。
｢…っ！｣
攻撃を間一髪避けた時に地面のひび割れに少し足をとられた瞬間だった。
腹部に鋭い蹴りが入り、数mほど勢いよく吹き飛んだ。
咄嗟に頭を守るように受け身を取って立ち上がってから間もなく襲い掛かるアキレアの追撃をいなしながらその場に踏みとどまる。
幻覚に掛かると厄介な為振り返りはしなかったが、私の背後には沢田に助け舟を出しているクロームや非戦闘員がいる。
絶え間ない打撃に腕が痺れ始めても、蹴られた痛みで膝をつきそうになっても、退く訳にはいかない。
｢シャルル、形態変化！｣
上空を飛んでいた雹鯱が形態変化し2本の短剣が両手におさまる様を見て、アキレアが煩わしそうに私の背後に視線を投げた。
｢そんなにヤツらが大事か！
あ゛ぁ゛！？｣
そのような当然の事象を言葉で返す筈もなく、雹の炎の炎圧を高めた時。
｢アキレア！
此処は一旦退きますよ！｣
桔梗の声がアキレアに掛かるのを見て振り返ると、大空の炎がトリカブトを焼き付くさんとしていた。
沢田の『
苛立たしい様子を隠さないまま、こちらに一瞥寄越すとアキレアも炎で飛び去っていく。
｢次は殺す｣
そんな捨て台詞に一瞬、目の前にあの日の光景の錯覚を見てぺたんと座り込む。
死ぬ気丸の効果は解けていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 989人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暁月臨(プロフ) - 凄く面白いです応援してます！！更新待ってます！頑張って下さい！！！ (8月16日 22時) (
レス) @page22 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - 更新待ってましたー！私も偏頭痛持ちでしんどいです。。。無理なさらずゆっくり休みましょう！ (2022年4月21日 20時) (レス) @page10 id: 6ed9d06741 (このIDを非表示/違反報告)
みう - こんにちは！とても惹き込まれる作品で一気読みさせてもらいました！時々くる骸との絡みをにやにやしながら読んでいます！更新楽しみにお待ちしてますー！ (2022年4月20日 1時) (レス) @page9 id: 5ff707e6a3 (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - REBORN2期くるといいな〜！一気読みしました！！面白いし泣ける。更新すごく楽しみにしています！応援してますー！ (2022年2月19日 21時) (レス) @page6 id: 152ce92a73 (このIDを非表示/違反報告)
藍花(プロフ) - 更新待ってます！体調にお気をつけてください！！ (2022年2月16日 21時) (レス) @page5 id: 6dc077f6ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：睡 | 作成日時：2021年7月9日 21時
