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第柒什玖話「猫被りはどちらか」 ページ29

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見上げるわたしとは反対に、フンと偉そうに鼻を鳴らして物凄い目下げて見てくる鴉。

嗚呼、酷い色をしてるなあ。

吐き気がする。


「馴レ馴レク呼バナイデクレルカシラ!アノ子トアンタ何カ天ト地のノ差、月トスッポン!ウザッタラシイ足デマトイハサッサト「ごめん」


「ヒィッ!?」

「もう一度、言ってくれるかな」


喚くような目障りな声だったから、よく聞こえなかったや。
だからもう一度言って欲しいのに、逃げようとする鴉の脚を引っ掴んだだけなんだけど。

何でこの子は涙目になってるんだろう。


「────ねえ。わたしのことが何て?もう一回言ってくれるかな?貴女の声、五月蝿くてよく聞こえなかったからさ、また言ってくれると返答出来て有難いんだけど」


「ゴメ、ゴメ、ゴメンナサ…ッ」


何怯えてるんだろう。嗚呼、でもさっきの酷い色がちょっとはマシになって良かったね?


「もしかして、わたしに至らないところがあったことを教えてくれたのかな。だったらありがとう。けどさ」


あんまり五月蝿いと焼鳥にして喰べちゃうよ。


「ヒィ……ッ!!」


怯えて羽毛を逆立てる鴉の脚をぺいっと放り投げて歩きだす。

生憎と。何を言われようと。
此処でしょぼくれるわたしじゃない。


「いえ。時透くん。嫌な予感がしますからわたしもお供させて頂きます」


時透くんの三歩後ろを確保して、彼の配慮がない拒否の発言を跳ね除け続ける。

今回の討伐の件は本当に嫌な予感がするんだ。

自慢じゃないし出来れば当たって欲しくないけど、わたしの勘はよく当たる。
理由は大抵後で付いてくる。
良いものならそれで良しだけど、悪いものならそうはいかない。

柱とただの一隊士を組ませたのにはきっとわけがある。

今のところ、上の指令が適切でなかったことはなかった。


「執拗い……はあ。わかった。けど、俺の足でまといにだけはならない様にしてよね」


「はい!」


元気よく返事をするAにあからさまにげんなりする時透。

しかし無理もない。
儚げな容姿をしておいて、此処まで頑なに説得しながら付いてくる隊士なんて他にいない。例外を除いて。

黙らせようと例の神社に向かう道中、幾ら平手や手刀を向けてもこの少女はサラリと躱すのだから。

これではどちらが時間を無駄に費やしているかわからない。

結局、彼の方が折れることとなった。

第捌什話「神を侵すモノ」→←第柒什捌話「霞の中を歩く人」



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素敵な作品ですね - めちゃくちゃ面白くてシリーズの最初から一気読みしてしまいました!更新楽しみにしてます。 (2019年10月23日 14時) (レス) id: 87b58a18e6 (このIDを非表示/違反報告)
人形師(プロフ) - 凄く面白いです!続きが気になります。応援してます!! (2019年10月6日 0時) (レス) id: 05191dc1a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年8月7日 8時

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