第伍什貮話「激励を胸に、決着を」 ページ2
.
「…っ!あぁ!」
力強く頷いてくれたことがとても嬉しかった。
伝わった……!
「俺は今までよく頑張ってきた!俺は出来る奴だ!そして今日も!これからも!折れていても!!俺が挫けることは絶対にない!!」
自分を鼓舞する、出来る言葉が言えるようになって良かった。
と、そんな喜びも束の間。
ポ ン
鬼の鼓の音がまた響く。
ポ ン ポ ン ポ ン !
左回転からの爪の攻撃、それを避けてまた左回転。
上から爪の攻撃、左回転、右回転、左回転。
それなりの速さで鼓を叩く鬼の顔がどんどん険しいものになってく。
稀血がすぐ目の前にいるのに喰えないから、鬼狩りが倒れないから、自分はまだ認められない。
小生はまだ、やれるのに。
「消えろ、虫けら共!!」
────尚速 鼓打ち!
ポポンポンポンポン!!
出鱈目に回転して方向感覚がわからなくなりそう。
ちょっと跳んだだけで、凄い勢いで部屋が回転してるのがよくわかる。
爪の攻撃が三本かは五本に変わった。避ける。
鎖鎌を突き刺す間が勿体ない位速くて、部屋の中で紙束がはらはら木の葉みたいに舞う。
────これは、
手書きの文字────?
何処かで、見覚えが────。
「炭治郎くん、踏まないで!」
「!!」
わたしの言葉で咄嗟に紙を避けて着地する炭治郎くん。
鬼の手が一瞬だけ止まった。
「!」
わかった。
紙を踏まないように避けたおかげで、怪我が痛まない体の動かし方、呼吸の仕方がわかった。
呼吸は浅く、速く。
その呼吸で骨折している脚周りの筋肉を強化する!
そして、爪の攻撃の前には、黴のような匂いがする!!
全集中────
水の呼吸 玖ノ型 水流飛沫・乱
あれが水の呼吸特有の滑らかな動き……!
回転する部屋に対応しながら、炭治郎くんは前に進む。鬼に懐に入ろうとしてる。
途中で爪の攻撃が来てもちゃんと避けられてる。
あともう少し。
────もう少し!
「君の血鬼術は凄かった!!」
────炭治郎くんが鬼の頸を刎ねる直前、鬼の色が変わった。
暗闇の海に、混沌とした感情の色に射した一筋の光が淡く広がる。
その刹那、血飛沫がひとつ上がった。
鬼の頸と胴体は分たれ、畳の上を鈍い音を立てて転がり落ちる。
くるくる回転してた部屋が元に戻り、天井から鎖を離して着地。
炭治郎くん。やっぱり貴方は凄いよ、敵の鬼まで救っちゃうなんて。
212人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
素敵な作品ですね - めちゃくちゃ面白くてシリーズの最初から一気読みしてしまいました!更新楽しみにしてます。 (2019年10月23日 14時) (レス) id: 87b58a18e6 (このIDを非表示/違反報告)
人形師(プロフ) - 凄く面白いです!続きが気になります。応援してます!! (2019年10月6日 0時) (レス) id: 05191dc1a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:睡 | 作成日時:2019年8月7日 8時