姉が結婚挨拶に日本の至宝を連れてきた【糸師冴】

5．結婚裏話 ページ8

「お姉ちゃん、髪やってぇ」

「はぁ〜い。そこ座ってね〜」


両家顔合わせを終え、
結婚して、お姉ちゃんは式を挙げることになった。


結婚しても式を挙げるために日本にいたけれど、
式が終わったら、
お姉ちゃんはまた遠い場所に行くらしい。


今は、お父さん達と、式の打ち合わせで帰って来たけど。


でも、寂しいので久しぶりに甘える。


お姉ちゃんにとかされるのは気持ちいい。

暫く会っていなくても、髪をとかすときに撫でる癖もそのまま。


「お姉ちゃんは冴さんのどこが好きになったの？」

「う〜ん。どこだろうね〜」

「好きなところがあったんだから結婚したんでしょ？」

「別に一つのところが好きってわけじゃないの。
優しいところとか、ギャップ萌えするところとか、一緒に居て安心するところとか、
いろいろと好きが積もって結婚したの」

「ふぅ〜ん」


髪を愛おしそうに撫でながら話す。

冴さんと会う前は何かいろいろと張り詰めた感じがしてたけど、
お姉ちゃん、ちょっと余裕が出てきた気がする。


「私ね、冴ちゃんと出会う前は妹ちゃんと一緒にいるために生きてたんだよー」

「知ってる。お姉ちゃんいつも言ってたし」


姉が珍しく自分のことを話す。

いつも誰かの話しかしないのに……特に私だけど、
今日は珍しい……。

これが所謂、マリッジブルー？


「でもね、妹ちゃんに見てもらわなきゃって、必死になるとその分不安になって来るんだよね〜」

「私、お姉ちゃんのこと大好きだよ？」

「ふふふ、知ってる。いつも聞いてる」

「その辺が、冴ちゃんと同じでね。二人共なんとなく、自分達が同じように感じたのよ」

「たぶん、そこから意識し始めたんだと思う」

「へー」


見えなくても分かる。

過去を思い出しているお姉ちゃんが、
幸せな時の笑顔をしてること。

マリッジブルーではなかった。

良かった。


「いいな〜」

「私も彼氏欲しい」

「妹ちゃんにはまだ早いな〜。好きな人ができたら、すぐにお姉ちゃんに相談してね。」

「分かったぁ」



「ほら、できた」

「ありがとっ」


編み込みがきれいにできていた。

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