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「HiHi Jets!!」
今日はわたし1人だけでの参戦だから少し恥ずかしかった。
だけどライブが始まればそんな気持ちはどこかへ吹き飛んでいて、いつの間にか思いっきりコールできるぐらいになっていた。
このまえ入った時は良席と言われる"バルコ席"だったけど、今回はそれを通り越してステージに1番近い神席の最前。
ありがたいことに周りには赤のペンライトを持ってる人が少ないし、ここは完全に安全地帯。
するとセンターにやってきた優斗くんと目が合ってニコッと笑いながら指ハートをしてくれた。
わぁ……すごいアイドルだ……
そして続いて作間くんがお手振り、猪狩くんがハイタッチ、涼くんがピースをしてくれた。
みんなさっきまで楽屋ではあんなにはしゃいでたのに、スイッチ入ったらすごいんだなぁ……
なんて感心していたけど、肝心な瑞稀からはまだファンサもらってない……
絶対にわたしがここにいるってことには気づいているんだけど……
《あの、瑞稀担さんですか?》
「え、あ、はい、」
いきなり隣からトントンと肩を叩かれて、誰だろうと思ってそちらを向くとその正体はペンライトを緑に光らせた綺麗なお姉さんだった。
《まだ瑞稀くんに構ってもらってないよね、》
「はい……」
心配してくれてたんだ……
優しすぎるでしょ……
するとそのお姉さんはペンライトを振りながら《瑞稀くん!》と瑞稀をこっちに呼んでくれた。
あ……やばい、こっち向いた……
反射的に目を逸らしたくなったけど頑張って見つめ続けていると、瑞稀はちゃんとわたしの目を見ながら笑顔で手を振ってくれた。
え、今のほんとに瑞稀……?
わたしのことあんなに嫌がってた瑞稀が笑顔でわたしにファンサしてくれた……?
《よかったね!笑》
「あ、はい、ありがとうございます、!わたしも猪狩くん呼びましょうか……」
《いいよ、わたしは》
「でも、」
《……大丈夫だから》
なんて眉を下げながら笑うお姉さんに疑問符が浮かぶけど、結局その先も猪狩くんを呼ぶことはなかった。
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作者名:サリー。 | 作成日時:2020年3月8日 20時