17章『反転、穏やかな日々』2 ページ24
「カーティスが回復した後に先生方に聞いて回って調べてくれましたのよ。ファザーはグレズリーシルエット魔法学園に五年間勤務していて、それ以前の職業は不定だったらしいですわ」
それが一体どうしたというのだろう。そう訝しがるリリシアの気持ちを察したように、マリーは再び口を開く。
「フルミンウォーレに教員として務めるには、試験を突破し、かつ魔法界の高等教育機関で五年以上の経験を持たないといけないことになっているんですの。例外として、フルミンウォーレの卒業生で、在学中から教員の補助を行っていた者はその過程は必要とされないのですが。一方でグレズリーシルエットのあるグレズリー地方はノープット大陸の辺境近くにあることも相まって、教員不足に悩んでいるのです。ゆえに必要な資格などはなく、試験を突破すれば誰でも教員となれてしまうという、魔法界を見ても稀な学校なのですわ。」
「それってつまり…」
「ええ。フェザーはフルミンウォーレに潜入し、プリゼノを始末するために最短のルートを見つけ出し、フルミンウォーレの試験に突破できるほどの頭脳を持っていたことになりますわ。そんなに優秀な彼女が職業不定なんて、不自然じゃありませんこと?」
確かに、とリリシアは思う。計画を立てるだけでも難しいのに、それを一切悟らせずに周りを操ったフェザー。その才能は真っ当に活かせばどの職業でもある程度の活躍を残せただろう。では、何が彼女をそうさせたのか。計画は彼女の発案でないとしても、あの情報操作の力は純粋な本人の才能だろう。
「…と、残念ながらわかったのはここまででしたわ。流石に一個人の個人情報のうち、先生方が知っていることというものは限られますし」
そこまで言うと、マリーは上品に口元を抑えて欠伸をした。再び睡魔に襲われたらしい。リリシアも、マリーの話を聞いているうちに謎は深まって行ったが、それと共に眠気も増していった。
「寝る前に暗い話を蒸し返してごめんなさいな。最も、それでも眠くなってしまったようですわね。明日にはお互い元気な姿を見せられるよう、もう寝ましょう」
言いながらベッドに寝転び、毛布を整えるマリー。リリシアも同様に毛布に潜る。その瞬間に睡魔がリリシアを待ち構えていたかのように威力を増して襲ってくる。
「お休みなさい、マリー」
「ええ、おやすみ、リリシア」
星空に囲まれて、二人の夜は更けていった。
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明咲こより - 美坂るぅさん» 了解致しました。 (2017年2月5日 14時) (レス) id: 67d07cb40f (このIDを非表示/違反報告)
美坂るぅ(プロフ) - 明咲こよりさん» そうですね、消しておきます。どうやらコメ欄とボタンの色がコピーできていないようですので、ひつようならよろしくお願します。 (2017年2月5日 14時) (レス) id: a41f8e5530 (このIDを非表示/違反報告)
明咲こより - 美坂るぅさん» できました!画像が重なってしまっているのは、自分で調べて直します!作成して下さり、本当にありがとうございました。それから、パスワードが書いてあるコメントは消去した方が宜しいのでしょうか? (2017年2月5日 14時) (レス) id: 67d07cb40f (このIDを非表示/違反報告)
美坂るぅ(プロフ) - 明咲こよりさん» 了解です。 (2017年2月5日 13時) (レス) id: a41f8e5530 (このIDを非表示/違反報告)
明咲こより - 美坂るぅさん» 申し訳ありません…urlを入れているのですが、画像が表示されません。もう少し試してみますので、少々お待ち下さい。 (2017年2月5日 13時) (レス) id: 67d07cb40f (このIDを非表示/違反報告)
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